2022.09.01 電子部品メーカーの第1四半期(4〜6月)決算、好業績が継続 産機向け需要が拡大 円安も寄与
電子部品メーカーの好業績が続いている。主要電子部品メーカー41社の今年度第1四半期連結決算(1Q、2022年4〜6月)は、中国でのロックダウンやウクライナ戦争などネガティブな要素が多かった中でも、多くの企業が大幅増収増益の好決算となった。売上高は6割強の企業が前年同期比2桁の増収を達成。営業利益は3割以上の大幅増益となった企業が全体の半数近くに達した。
1Qは、産機向けが好調に推移したほか、xEVやハイエンドスマートフォン向けの需要も堅調に推移し、為替の円安も各社の業績を押し上げた。直近の電子部品市場にはやや減速感もみられるが、通期予想は大半の企業が期初予想を据え置き、多くの企業が通期での大幅増収増益を計画する。
41社の1Q連結決算は、9割強の37社が前年同期比増収となり、うち26社が2桁の増収を確保した。営業利益も増益または黒字転換が30社と全体の約73%に達し、3割以上の大幅増益となった企業が19社と全体の約46%に達した。当期純利益は前年同期比で2倍以上となった企業が14社と3分の1を占めた。
各社の1Q業績は、中国ロックダウンや地政学リスク増大などにより、中華系スマートフォンやパソコン(PC)向けなどの需要が低迷したが、産機や車載、ハイエンドスマホ向けは堅調さが継続。円安も各社の売り上げ・利益を押し上げた。高水準の受注残も継続している。
21年度に急増した産機系の電子部品需要は、今年度1Qも好調が継続した。今春の上海ロックダウンは、自動車生産に一時、大きな影響を与えたが、ADASやxEV化の進展が車載用電子部品需要を拡大させた。米アップルのハイエンドスマホ向けや、データセンター関連の需要も堅調だった。
収益面では、原材料価格やエネルギーコストの高騰、物流費用増大などがコストプッシュ要因となったが、増収効果と各社の構造改革進捗、円安効果などが利益を押し上げた。原材料高騰を踏まえた各社の販売価格是正も進んでいる。
一方で、直近の電子部品受注には、やや減速感もみられ、2Q(7〜9月)以降の見通しでは、やや警戒感も強まっている。中華系スマホの低迷継続懸念のほか、コロナ特需からの反動減、地政学リスク増大やインフレ加速に伴う欧米での景気下振れリスクなどが懸念されている。半面、半導体不足が徐々に解消に向かうことで、下期以降に向けて自動車生産拡大への期待も高く、また、中華系スマホ向け需要も3Q(10〜12月期)以降の反転が期待されている。
部品各社は、市場や顧客動向の変化を注意深く見ていくことで、リスク対応と機会損失防止の両観点での事業を推進する。
(2日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)