2022.09.16 村田製作所の共創プロジェクト 市販していない部品提供、試作も支援
デモの模様
自社のハードウエアを使うスタートアップなどを支援し、共創の輪を広げるプロジェクトとして、村田製作所が始めた「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」。同社みなとみらいイノベーションセンター(横浜市西区)とオンラインで14日午後にあった説明会(既報)では、開発中の案件の披露などもあり、さまざまな期待が語られた。
折しも、車両内への子どもの置き去りが問題になっている中、置き去り防止に資する技術の紹介もあった。担当する岩坪浩取締役専務執行役員は「私たちが思いつかないようなアイデアを出してほしい。大風呂敷でもいいので事業化の案も歓迎する」と呼びかけた。
伝統的な組みひもにもあやかり、さまざまな人や企業と共創する願いを込める同プロジェクト。若手社員らの発案から始まり、昨年10月に方針を打ち出していた。コロナ禍の状況を見つつ具体化の準備をし、1年弱たって本格的に始動した形だ。
一般向けには市販していないようなセンサーやモジュールなどを提供。試作品づくりも支援する。独自のソフトウエアやアルゴリズムを持つようなベンチャーや研究室などが、村田のハードを活用するようなアイデアの応募が見込まれる。
11月~来年1月に募集し、書類審査やプレゼン審査などを経て、採用した先と連携を進める。実際に事業への動きが具体化すれば、クローズドな取り組みとする。単なるコンテストではなく、製品としての具体化、内外の販路開拓、提携などをビジネス化を目指しているのが特徴だ。
部品のデモもあり、参加者らが熱心に質問する場面も見られた。ベンチャー向けの助言を手掛ける会社の担当者は「大手がこうした取り組みをしてくれるのは珍しい」と歓迎した。岩坪専務は取材に、共創やM&Aを通じて、通信以外の新分野をさらに強化する考えを示した。
(電波新聞デジタルに説明会の詳細や岩坪専務の話を掲載しています)