2022.09.28 【関西エレクトロニクス産業特集】近畿総合通信局、デジタル田園都市国家構想推進へ

井上 局長

経済活性化へDX推進、サイバーセキュリティーも強化

 近畿総合通信局は4月1日付で井上知義局長が就任した。「いこか。DXで拓くミライの関西へ!」を重点施策として、地域の課題解決と経済の活性化のため、関西のDX(デジタル変革)を推進。2025年の大阪・関西万博に向けて近畿圏が動き始めた。

 ①DXで地域を活性化②デジタル化を支える情報通信基盤の整備③安全・安心なデジタル社会の実現④災害時の情報伝達手段の確保--の4項目を、22年度の重点施策に掲げている。

ポストコロナ

 これら4項目に加え、近畿総通局が今後取り組む分野が、ポストコロナの新しい日本を創り上げるための施策として政府が打ち出した「デジタル田園都市国家構想」だ。

 総務省は3月末、同構想実現のためのインフラ整備計画を公表した。計画では、光ファイバー、5G、データセンター/海底ケーブル、Beyond 5G(6G)の四つの分野について、地方のニーズに即して目標を定め、基盤を整備していく。

 同構想実現のために政府はこれら4分野を推進するが、一方で「地域協議会」を設置して地域におけるデジタル化とインフラ整備のマッチングを強化。Beyond 5Gの研究開発の加速に努め、早期の6Gの運用開始を実現する。

 同構想の下で全国の総合通信局は6月以降、それぞれの管轄地域ごとに構想実現に向けて推進協議会を開催している。

 近畿総通局では6月9日に「近畿デジタル田園都市国家構想推進協議会」の第1回会合を大阪市内で開催。近畿2府4県の地方公共団体、通信事業7社、インフラシェアリング事業4社、国の出先機関などが出席した。

デジタル実装

 第1回会合であいさつに立った井上局長は「関係者連携の下、通信インフラのニーズに基づく整備および地域の実情に応じたデジタル実装を推進していきたい」と述べ、近畿管内の通信インフラの整備推進、地域の実情に応じたデジタル実装を推進していくことを確認し合った。

 さらに会合では、25年の大阪・関西万博に向け、早期の通信インフラ環境の整備が重要との認識で一致。構想実現に向け、光ファイバーや5Gなどの通信インフラの実情に即した円滑な整備が不可欠としている。

 近畿総通局は近年、サイバーセキュリティー関連の施策も強化しており、産官学による「関西サイバーセキュリティ・ネットワーク」を中心に、セミナーの開催、サイバーインシデント演習の取り組みなどにより、サイバーセキュリティーの周知啓発、人材育成、利用者への注意喚起を図っている。

 15日には近畿経済産業局や関西情報センターと共同で、学生や若手社員を対象とするサイバーセキュリティースクールを開催した。デジタル人材の育成は近畿総通局にとっても急務となっている。