2020.01.17 【ICT展望2020】キヤノンマーケティングジャパン 坂田正弘社長

坂田正弘社長

次の5年を見据えて取り組む独自の付加価値を創造

 ―ICTの市場環境をどう見ていますか。

 坂田社長 ICT市場は少子高齢化や人手不足への対応、働き方改革などを背景に、デジタルシフトやクラウド需要などに積極的なIT投資が行われ、好調に推移した。一方、事務機もペーパーレス化が進む中、データ処理などで人手をかけないワークフローがかなり進展した。いかに市場、顧客のニーズにマッチした施策を打つかが勝負になっている。

 ―キヤノンMJグループは幅広い事業領域をカバーしています。19年度の事業の進捗をどう総括されますか。

 坂田社長 事務機分野は市場が縮小傾向にあり厳しい状況だったが、ITソリューションが2桁の伸びで好調に推移した。PCは、ウインドウズ7のサポート終了に伴い、ウインドウズ10への更新需要が活発だった。それも単なる更新需要にとどまらず、ソフトウエアやサービスも含めたビジネスへ広がりを見せた。

 システム構築などのSIビジネス、セキュリティ関連、データセンター(DC)関連のITインフラも順調に推移している。中堅・中小規模事業者は、ITの専任者がいないという課題を抱えている。当社は全国にサポート要員を配置し、サポートニーズに対応している。

 ―「ITS3000計画」の進捗状況は。

 坂田社長 現在、ITソリューションの売上げ規模は全体売上げの3分の1まで拡大してきた。ITS3000計画では、ITソリューションで売上高3千億円を目標としているが、今後も順調な推移を見込んでいる。

 ―20年度の位置付けと重点施策についてはいかがですか。

 坂田社長 今年は、5カ年計画「長期経営構想フェーズⅢ」の最終年となる。19年を〝第二の創業〟の年とし、ITソリューションなどの成長領域に人的リソースや投資を行ってきた。20年は、中期計画の仕上げと同時に、次の5年を見据えて取り組む。

 引き続きITソリューション事業を成長の中核に位置付け、顧客のデジタルビジネス推進につながるソリューションを提供していく。大手・準大手企業向けには、システム構築力をさらに強化するとともに、堅ろうなDCを活用した、より付加価値の高いサービスを提供していく。

 また、中堅・中小企業向けでは、これまで培ってきた導入・サービス力に加え、セキュリティも含めたトータルなサポートを、全国に展開している販売・サポート網を生かして提供する。

 今後のデータ量の急速な増大に対応するため、DCⅡ期棟を今年の夏に完成させる。グローバル基準の安心・安全な最高の運営品質を提供してニーズに応えていく。

 同時に既存事業の収益性の向上を図る。複合機やプリンタはさらにソリューション連携を強化し、東京五輪に向けてのネットワークカメラ需要を取り込むほか、AI(人工知能)、IoT、5Gなどの分野で新サービスを提供していく。

 ―最後に今年の経営方針をお願いします。

 坂田社長 お客さまの課題解決と成長を支援するため、顧客視点に立った独自の付加価値を創造する企業へと、一層の変革を進めていきたい。