2023.01.13 【放送/機器総合特集】日立国際電気 伊藤明男副社長執行役員

伊藤 副社長

無線と映像技術の高度化 多様な分野のDXに貢献

 無線技術と映像技術を核に、社会を支えるインフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。

 あらゆる産業で省人化・省力化の手段としてDX化が進んでいる。当社はプライベートLTE/ローカル5Gや人工知能(AI)を活用し、DXに関わるシステムやソリューションを提供している。

 その中でもAIと監視カメラの活用によるセキュリティーを強化。映像解析と制御が可能なAIエッジコントローラー(AEC)を提案。既存のIPカメラに付けるだけで、AI機能搭載のカメラとして使用でき、防犯・防災DXにもつながる。

 放送分野においては、地上デジタルテレビ放送の更新が放送局の親局を中心に進められた。今後は地方局やサテライト局も見据え、継続して取り組む。

 送信設備の省人化には、FPU基地局システムと親局送信機やSTL/TTL、サテライト装置など送信設備を統括して操作をする「統合型リモコンソリューション」を提案。お客さまが所有しているPCからでも監視ができるなど、オペレーションを単純化させた。

 放送機器のトータルサポートとして、5Gを使った「スマートメンテナンスシステム」も提供。遠隔からの定期点検や保守作業を支援することで、省人化・省力化が図れる。

 放送用4Kカメラを刷新し、グローバルシャッター方式のCMOSセンサー搭載フル4Kカメラを発売開始。高性能ながら優れたコストパフォーマンスで好評を得ている。欧米での大口受注、アジア地域ではこれまで実績がなかった国にも納入でき、昨年4月から数百台を出荷した。報道やスポーツ中継などに活躍している。

 自営無線であるプライベートLTEを活用した新たなソリューションを提供。昨年10月から本格運用を開始した仙台市の「津波避難広報ドローンシステム」で津波避難広報を実施する。当社はプロジェクト全体の取りまとめとシステム・運用設計やシステム管制プラットフォーム/プライベートLTEシステムの構築を担当。

 また、岐阜県が5Gと小型ドローンを使ったスマートファクトリーの実験に携わっており、ローカル5Gを活用し地域課題の解決にも取り組んでいる。

 無線やAIなどの先進技術を開発する「研究開発本部」があり、Beyond 5G、次世代ブロードバンド無線や超低遅延、高圧縮などの映像伝送技術、自動補正、自動追尾などの画像処理技術の開発に取り組んでいる。

 3カ年中期経営計画にも挙げており、これまで以上に人材育成を強化している。昨年4月に、営業とSE(システムエンジニア)を兼ね備えた「DX本部」を創設した。お客さまと一緒に仕様を検討する。DXに必修なソフトウエア分野を強化するため日立グループとも協業し、本格的にDXに取り組む。

 今年は社会インフラをベースに、これまでの取り組みを強化しながら、さまざまな分野にも横展開し、当社の強みである無線と映像の技術の高度化、そしてこれらを組み合わせることでシステム技術の可能性に挑戦し、お客さまのDXに貢献していきたい。

 2月には5G、AI技術を活用し、自治体、鉄道、電力などの社会インフラならびに製造業をはじめとした産業分野への各種ソリューションの提案を行う「日立国際電気ソリューションフォーラム2022」を開催する。