2023.01.16 メタバース、工場や医療でも CESで各社披露、プラットフォームからデバイスまで

キヤノンUSAの手掛けるソリューション

 メタバース関連は今回のCES2023の目玉の一つ。ゲーミングなどエンタテインメントだけではなく、産業分野での実装に向けた展示やカンファレンスが相次いだ。

 米半導体大手のエヌビディアは、メタバースを活用してコンテンツ制作を支援するソリューションを表明。ゲーム用GPUで知られるだけに、クリエイターをさらに取り込む構え。産業用にもデジタルツインのサービスを打ち出した。

 さらに注目されたのは、メルセデス・ベンツとの協業。工程デジタル化の一環で、製造や組み立てに、仮想空間プラットフォーム「エヌビディア オムニバース」を活用する。デジタルツインが構築できるもので、工程や配置などを見直して最適化できる。世界中の工場の同期もできる。

 大手と新興の連携も進む。医療向けなどの拡張現実(AR)端末を開発する米スタートアップのマジックリープ。AMDの基調講演にゲストとしても登壇し、協力して開発しているデバイスなどを披露した。ペギー・ジョンソンCEOは「仮想現実(VR)はゲームなどいわば別空間だが、ARは実空間と仮想空間の融合であり、手術支援などでゲームチェンジャーになる」とアピールした。

 日系勢も独自技術を展開。ソニーグループは英サッカーの人気クラブ、マンチェスター・シティと、ファン体験づくりなどの取り組みを昨年のCESで打ち出したが、それを進化。ファンがスマートフォン上で作成する自身のアバターを通じて、チームにかける思いをや情熱を表現できるようにしている。

 パナソニック子会社のシフトールは、新しいスタイルのVRコントローラを披露。通常はコントローラーを握らないといけないが、設計の工夫で手の自由度を確保。現実世界で飲み物をつかむなどできる。

 メタバースを産業に活用するプラットホームや、実装を支援するデバイス、その中核部分を担う半導体、コンテンツや「体験」を取り込んで新市場のサービスにつなげるビジネスモデル。主催者は今回、メタバースですべての物が結び付く「メタバース・オブ・シングス」を提唱した。その元年になるかが注目される。

(17日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)