2023.02.22 競走馬の出産見守りをIoTで支援、エナジーハーベストで破水検知 主産地・日高を舞台に

破水のセンサー

 希少なサラブレッドなど競走馬の出産。シーズンになると、生産者は夜通しの見守りが必要になるという。異常分娩などの場合、獣医の手配などがすぐ必要になるためだ。

 乳牛や肉牛のような動物の場合、出産を検知する技術が農業研究の一環として蓄積されているが、競走馬の場合、位置づけが異なることが背景にある。また、ちょっとした変化にも神経質な馬に負担をかけない技術もも求められる。そのため、カメラで遠隔から見守るなど、現場は重労働になりがちだ。

 そこで、ミネベアミツミグループのエイブリックは、増尾牧場(北海道日高町)、小坂機械(新ひだか町)、サンデンシステムエンジニアリング(群馬県伊勢崎市)と協力し、手がける技術を使って、IoTを活用した出産検知スマート化に取り組むと発表した。

 同社の「CLEAN-Boost」技術は、環境発電(エナジーハーベスト)で、水などで発生する微量の電力を蓄積発電し、通信などに活用するもの。従来も、建物や配管などの漏水検知に製品化されている。

 これを使い、馬の出産時の破水や発汗を検知し、羊水や汗で発電した微量な電力を蓄積して無線送信。スタッフに知らせる仕組みを開発した。スマートフォンで受信できるほか、仮眠中にも確実に気付けるよう、自宅やスタッフ室に音と光で知らせることも可能とした。

 電池を使わずに破水・発汗センサーとして機能し、無線送信できる。環境にやさしいことに加えて、母馬の身体への負担も少なく誤飲といったトラブルも避けられる。このシステムの確立で、農家の負担軽減と出産時の馬の安全確保を実現する。

 アナログ半導体などを手掛ける同社。「道内の地域活性化にも貢献できれば」と展望する。

 (23日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)