2020.03.02 【LED照明特集】業界を挙げた施策で市場活性化
家電量販店のIoTコーナーでも照明が提案されている
国内の照明市場が踊り場に差しかかっている。メーカー出荷のほぼ100%がLED照明となり、従来光源の出荷は微々たるものとなった。
半面、LED照明の出荷台数が前年割れする状況も見られ、伸び悩み傾向が顕在化してきた。M&A(買収・合併)などメーカー側の動きも慌ただしくなっており、LED照明を軸にしたメーカー間の競争が新たな局面を迎えている。
昨年12月単月における照明器具の国内出荷は、LED照明が全体の99.3%を占める状況となった。同月の住宅用では99.5%と、さらに100%に近づいている。非住宅用にしても99%に迫る勢いで、一部の特殊用途を除き、ほぼLED化が進んだことになる。
ただ、出荷台数の伸び悩みが目立つようになってきた。住宅用は昨年10月の消費税増税に伴う需要変動の影響が多少あるものの、住宅用以上にLED化の余地が多く残る非住宅用でも前年割れするようになっている。
12月で見ると、非住宅用屋外照明は出荷台数が1割近く落ち込んだ。金額ベースでは前年比4.2%増となる逆転現象だが、「屋外照明は大型案件が入ると急激に単価が上がったりする」(日本照明工業会〈JLMA〉・内橋聖明専務理事)ことが要因で、全体では微減傾向にある。
ストックを30年に100%LED化へ
節目となったのが、18年度の照明器具の出荷台数だ。LEDがけん引して過去17年間右肩上がりを続けてきた状況が足踏みし、前年割れとなった。
市場の鈍化が指摘されるようになったが、ストック(既設照明)を30年に100%LED化する、という業界目標に向けてJLMAが主導し、一般向けのキャンペーンも展開している。
昨年10月21日から開始したのが「あかりに無関心だとチコちゃんに叱られる⁉」キャンペーンだ。第1弾は今年1月31日に終了した。簡単なクイズに答えることでWeb、はがきで応募でき、チコちゃんのトートバッグが抽選で当たるというオープン懸賞。Webでの販促に力を入れたことで、3万5000件以上の応募総数のうち7割以上はWebからの応募だった。
キャンペーン第2弾も展開
LEDに対する一般消費者の関心を高めるための企画で、大々的なキャンペーンを張ったのはJLMAにとって初となる。第2弾も3月1日から開始している。
第2弾でもクイズ形式を採用。クイズ正解者の中から抽選で1000人にチコちゃんリュックが当たる。
第1弾の応募傾向などを踏まえ、今回はリニューアルや引っ越しなどで、あかりにより関心を示しそうなエンドユーザーに向けてSNSなどを通して訴求したい考えだ。応募期限は5月31日までで、JLMAの会員企業や全国電機商業組合連合会といった関連業界団体とも連携していく。チラシやポスターを配布して、顧客先や販売店の店頭でもPRできるようにする。
IoT対応製品の提案も活発化
また、LED照明はIoTの提案も活発化してきた。住宅用ではシーリングライトや電球などのIoT対応品が家電量販店でも気軽に購入できるようになっている。Wi-Fi環境が整った家庭であれば、スマートフォンを使った調光・調色やタイマー設定などをすぐに実現できる。
量販店の一部では店頭でIoTコーナーを設置し、LED照明を含む様々な機器の連携を提案する動きが盛り上がってきた。日本橋三越本店(東京都中央区)に2月に新規出店したビックカメラ日本橋三越や、ケーズデンキ水戸本店(水戸市)にはIoTコーナーが設けられ、来店客に提案する体制を整えている。
特に住宅用照明は、スマートスピーカとの相性が良いと考えられており、壁スイッチやリモコンが当たり前だった照明の操作手法が、今後大きく変わる可能性を秘めている。こうした新しい使い方は、ストックのLED化を後押しする要因にもなり得る。
ストックのLED化率は、現在45%程度と見られている。内橋専務理事は「20年度で(LED化率)50%はいける」とする半面、「50%を超えるとLED化率のカーブは緩やかになる」と予想する。30年におけるストックのLED化率100%は容易ではないが、JLMAとしても業界を挙げた様々な施策で、市場を活性化させていく構えだ。
【LED照明特集】記事一覧
●業界を挙げた施策で市場活性化
●高天井用LED照明、オイルミストと高温対応 岩崎電気
●無線照明制御システム、太陽光と蓄電池連携を提案 オーデリック
●SP搭載シーリングライト提案 パナソニック
●高天井用「GTシリーズ」に注力 三菱電機照明