2024.01.04 【家電流通総合特集】省エネ住宅などで3月から新補助金

電ねっとクリハラでは3月から始まる給湯省エネ事業に関するPOPを掲示

補助金情報を伝える看板を店舗前に出してPR(狩野デンキの店舗)補助金情報を伝える看板を店舗前に出してPR(狩野デンキの店舗)

これまでのノウハウを生かす
エコキュートなどに取り組む

 3月から省エネ住宅や窓リノベ、高効率給湯器、既存賃貸集合住宅の省エネ化の導入時に利用できる補助金制度「住宅省エネ2024キャンペーン」がスタートする。総額4215億円の予算で、昨年の予算額の1.4倍以上。各販売店はこれまでの補助金制度のノウハウを活用しながら、キャンペーンに向けて前向きに取り組もうとしている。

 エコキュートでは昨年の5万円から最大18万円まで補助金額が拡大する。パナソニック系の電ねっとクリハラ(栃木県小山市、栗原勉社長)は、国や自治体の補助金の対象となる商品を積極的に訴求し、販売につなげている。栗原社長は「補助金がある商品を軸に提案していた」と話す。

 同店は、資源エネルギー庁の「給湯省エネ事業」を活用し、エコキュートの販売につなげていた。ただ、2023年に入ると商品不足の影響が表面化し、補助の対象となる高効率給湯器の在庫確保が難しくなった。夏以降は在庫も潤沢になり、設置から10年以上経過したお客の買い替えが進んだ。

 補助金に関する情報発信も積極的に行っている。お客は、補助金があることを知らないことが多いからだ。2カ月に一度作成している手作りのチラシには、補助金の情報を掲載。店内にもPOPを掲示し、補助金がでることを伝えている。

 3月に始まる給湯省エネ事業の後継事業「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」を活用するための準備も進めている。入り口のそばにはエコキュートを展示。POPを貼り、最大で15万円の補助がでることを説明している。

 日立チェーンストールのクボタ電器サービス(長野市、窪田康宏社長)は、なるべく多くの得意客に補助金の恩恵を受けてほしいという考えの下、今年も継続して国や県の補助金を周知していく。

 同店は、31日まで実施中の「信州省エネ家電購入応援キャンペーン」を活用しながら、「子どもエコすまい支援事業」や給湯省エネ事業も活用してきた。

 窪田社長は「22年に比べてエコキュートの実績は伸びた」と補助金効果を実感している。購入は得意客の自由だが、補助金の存在は知らせてきた。それでも、補助金の存在を知らない人の割合は多いという。

 壊れる前の買い替えにもつながった。エコキュートは約10年で買い替える。ある得意客から「10年に1回、70万円かけて買い替えないといけないのか」と言われたことがあるいう。

 その際に窪田社長は「確かにエコキュートの値段は下がらない。でも、補助金の恩恵はある」と、補助金が出ているタイミングで買い替えれば、負担が軽減されることを伝えた。

 中部電力も、先着応募で5月31日まで買い替えキャンペーンを実施している。補助金を組み合わせることで、受けられる恩恵が大きくなる。

 窓リノベ事業など各種補助金を組み合わせる店も。ワタナベ電器(京都府八幡市、渡邉憲一社長)では昨年、エコキュートや窓リノベ事業、子どもエコすまい支援事業に注力。IHクッキングヒーターなど対象商品を納める際には、エコすまい補助金のことを提案してきた。エコすまい補助金の提案の際には必ずビフォー・アフターの写真を撮影しておくという。

 渡邉社長は「補助金申請書類が厳正で、写真の有無も確認される。IHのみ導入したお客さまが『補助金を活用したい』となった時に対応できるよう準備はしておく」と話す。

 パナソニック系のあい電ハセガワ店(山形県鶴岡市、斎藤哲男社長)では、国の補助金などを活用して販売につなげている。後藤弘幸専務は「補助金があるおかげで、お客さまに訴求しやすくなっている」と述べる。

 同店では、補助金を活用したエコキュートの買い替えの動きが目立つようになってきた。「国の補助金や各種補助金をしっかり確認した上で、お客さまに提案、販売につなげるようにしている」と後藤専務。

 夏場や冬場に部屋の気密性を保つための内窓設置などへのリフォームについてもお客へ提案を行うことにしている。

 特に寒冷地エアコン購入者には内窓の設置も合わせて提案を行うことにしている。3月からも継続して国の補助金があるということで、販売に弾みがつくことに期待している。

 後藤専務は「国の補助金などについては、知らないお客さまも多くいる。訪問時にいろいろ話をする中で、補助金についても説明する」としている。

 地元自治体の補助金ノウハウを生かす動きも目立つ。東芝ストアーの狩野デンキ(福岡県福津市、城戸威社長)は福津市の省エネ補助金を活用、エアコンの販売が好調だった。車の多い通りに面した店舗前に看板を出しているので、2割程度は看板を見て店舗で対象機種を確認するため、城戸社長は「来店の一つのきっかけになっている」という。

 福津市の補助金は先に申請・登録してから購入するため、年配のお客の場合は申請を代行、店側で書類を整えている。暖房機能の高いエアコンなども引き合いがある。購入は15日までだが、予算を消化しきれていないようなので、再募集があればと期待する。

 高効率温水器の補助金は店舗の登録が必要だったため、昨夏は繁忙期と重なったため見送った。価格の手頃なエコキュートの在庫を充実させ、来店客にも補助金の件は伝えた上で販売してきた。新年度に改めて登録ができるようであれば検討も考えている。

 のはら家電(岐阜県大垣市、野原実社長)は、国や自治体の補助金を活用し、光熱費・カーボンニュートラル社会の実現に向けたソリューション提案を加速させている。岐阜市では、省エネ家電、太陽光発電設備、蓄電池、V2Hを導入する場合に補助金が利用できる。エコキュートに関しては国の補助金や中部電力のキャンペーンを利用できる。

 24年3月ごろに店を改装し、新型の太陽光パネルをお披露目する予定。今後も、それぞれの生活スタイルに合わせてコストパフォーマンスをシミュレーションし、最適なシステムを提案していきたい考えだ。