2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 イリソ電子工業 鈴木仁社長
鈴木 社長
生産効率通じ営業利益率も向上
2023年度上期が終了し、世界の自動車生産台数が戻り良い状況になってきたと考えている。だが、中国経済低迷でインダストリアルと民生機器分野は低調さが続いている。この動きは今年の4月まで続くとみており、その先も不透明感がある。中国の民生機器市場が復活すれば、それに伴いインダストリアル分野の生産も上向くため、そのタイミングを待っている状況だ。
23年度上期の世界の自動車生産台数は当初の想定を少し上回るレベルとなり、その中で電動車比率が上がっていることもわれわれにはプラスだった。車載ビジネスは通期でも計画通りの実績を達成できるとみている。
24年度も世界の自動車生産台数は伸長するとみる。直近でも自動車の市場在庫は平常時よりも低い水準。どんな車種の生産が回復するかもポイントだが、基本的には自動車の生産増に対応し、当社のビジネスも伸ばせると考えている。
当社は、年末に新工場の秋田工場(秋田県横手市)が竣工(しゅんこう)する予定で、25年春には量産体制が整う。これにより、BCP対応を兼ねたマルチ生産体制を確立する。23年10月には、岩手県花巻市でイリソエンジニアリングの金型の新工場が稼働した。
24年に向けては、BCP対応強化とともに、収益性改善のためのプロジェクトにも取り組む。生産効率向上などを通じて営業利益率を高めていきたい。加えて新ERP導入により全社的な効率を上げていく。BCPの一環として、生産品目見直しも行う。海外工場とのアロケーションを見直し、地産地消の活動をより強めていく。
24年度(25年3月期)から新たな中期経営計画(3カ年)がスタートする。長期ビジョン「2030年3月期に売上高1000億円」の目標に向けた準備を進める。長期ビジョン実現のためには次の工場も必要だが、次の工場は地産地消対応として、欧州または米州に開設したい。環境への対応も次期中計での大きなポイント。環境活動は開示も含め力を入れる。事業活動におけるCO₂排出量削減に注力する。
自動運転技術の高度化は国の方針でもあるため、ADASの需要はますます増加する。これらに向けた高速伝送用コネクターや小型カメラ用コネクター、基板対基板コネクターなどのビジネスを伸ばしていきたい。