2024.01.09 【製造技術総合特集】製造装置 主要各社の24年戦略 NITTOKU

近藤 社長

オープンイノベーションに活路
協業・協創で製造業に貢献

 NITTOKUの2024年3月期中間期業績は、コイル自動巻線機などのワインディングシステム&メカトロニクス事業が製造業の投資抑制の影響を受けて伸び悩んだが、非接触ICタグ・カード事業が電池の生産ラインにおける工程管理ニーズの高まりを受けて好調に推移し、特に生産管理用電池タグの売上高は前年同期比3.4倍だった。

 同社はコイル自動巻線機で培ってきた制御技術やテンション技術などコア技術を応用してFAプラットフォーム「FLEX-1」を自社開発し、これらをベースに独自の技術や製造ノウハウをもったユニークな企業とのオープンイノベーションを進めている。近藤進茂社長は「単体の生産設備は投資スピード、投資額などにおいて中国企業が強い。擦り合わせ技術など日本には優秀な要素技術を有する企業が多いが、その技術の付加価値を高めるために一社ではなく、オープンイノベーションによるブルーレイク戦略を推進することで活路がある。当社は生産技術を代行する生産ラインビルダーとして、協業・協創により製造業に貢献したい」と述べる。FAプラットフォームFLEX-1は、リニアモーターを採用したモジュール式の生産ライン用搬送システムで、同システムにスカラロボット、多軸多関節ロボット、ビジョンシステムなどさまざまな生産設備を組み合わせて、変種変量生産や専用量産ラインとして稼働できる。新たに同社の多機能巻線機とFAプラットフォームによる電子回路用トランスの生産を自動化するシステム(トランスコイル設備)を開発した。ワークの供給から巻線、テーピング、はんだ付け(噴流式)外観・導通検査といったトランス生産に必要な機能を一台に集約し、頻繁な仕様変更、段取り替えにもフレキシブルに対応できる。

 同社は27年3月期に全社売上高500億円(23年3月期295億円)の達成を目指し、その一環でグローバル化を加速している。欧州は既に体制を強化し、東南アジアについても新たにフィリピンに全額出資の現地法人を設立。周辺国を含めてオールNITTOKUで受注拡大に取り組む。