2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体製造装置は24年中盤から本格回復へ
半導体製造装置業界は24年、再び成長軌道に乗ることが期待される
反転の年に位置づけ
生成AI活用増で、DC/サーバーへの投資に期待
半導体製造装置業界は昨年、スマートフォンやパソコンなど民生機器の需要減退を背景にした半導体各社の設備投資抑制の影響を受けて厳しい事業環境となった。
ロジックやメモリーなど全般的に市況回復が当初見込みよりも時間を要し、製造装置各社は2023年度の業績について慎重な見方を示す。ただ、昨年後半から需要回復の兆しが見えつつあり、24年中盤から本格回復が見込まれる。
先端ロジックでは投資延期が見られたが、今年は新型コロナ禍で購入した民生機器の買い替え需要も始まる見通し。車載、センサー、IoT、産業機器用途での半導体需要も底堅く、半導体製造装置業界は24年を、再び成長軌道に乗せる反転の年と位置付ける。
AI(人工知能)の活用は今後も増加し、データセンター(DC)/サーバーへの投資は継続するとの期待が大きい。特にAI向け半導体は生成AIの普及で大きな成長が見通されている。生成AIには大量のデータ処理が求められ、GPU(画像処理半導体)をはじめとした高性能演算処理が可能なロジック半導体のほか、高速でデータ転送が可能なDRAM(DDR5など)、HBM(高帯域幅メモリー)といった高性能メモリーが多数必要とされる。
パワー向けも堅調
NANDなどの不揮発性メモリーの需要回復時期は不透明で、今年後半まで調整局面が続くとの見方が多い。一方で、高性能メモリーを生産する半導体メーカーでは生産能力の増強を開始しており、製造装置や検査装置の新規需要が昨年から本格化。製造装置各社の業績を下支えする要因になっている。
米中貿易摩擦に伴う輸出規制は装置各社にも影響を及ぼしてきたが、規制対象外である成熟世代の製品に対する中国での投資は政府の国産振興方針もあって依然活発だ。
EV(電気自動車)化の流れを受けたパワー半導体も堅調。欧州では補助金の縮小といった施策の見直しも行われるが、ハイブリッド車向けも含むパワー半導体の需要自体は続く。半導体製造装置各社もパワー向けの製品を拡充するなどして成長市場への対応を強化する。
先端分野で引き合い
2.5Dや3Dなど先端パッケージ分野でも、ボンダーなど製造装置の引き合いが生じ、テスト時間の増加に伴う試験需要によってテスターが使われる機会が増えるなど、各社の事業拡大に寄与している。
半導体製造装置各社は中長期的な市場拡大を見越し、生産・開発拠点の増強に向けて積極的に投資を行う。