2020.04.03 蓄電池付き太陽光発電システム整備 スマートソーラーが北海道釧路町と協定
協定書を持ち合う手塚博文社長(右)と、小松茂・釧路町長
ブラックアウトを教訓に
太陽光発電設備の開発、施工、運営などを手掛けるスマートソーラー(東京都中央区)は、北海道東南部にある釧路町と、大型蓄電池付き太陽光発電システムを整備する協定を結んだ。
18年に起きた国内初のブラックアウト(全域停電)を教訓に、災害時の避難所などに導入する。事業費は同社が負担し、町へ長期的に電力を販売するなどして回収する計画だ。
18年9月6日に起きた北海道胆振東部地震に伴って起きたブラックアウト(全域停電)では、同町でも全約1万世帯が停電となり、町民生活の機能が停止した。
そのため、町では大規模自然災害を想定した社会資本整備などが大きな課題と位置付けられた。
そこで、町では、目的にかなった事業提案を民間にしてもらう公募型プロポーザルを実施。スマートソーラーの提案が採択され、3月18日に町役場で協定締結が実現した。
協定では、町内を10地区に分け、災害時に避難場所など公共施設を中心に計約40カ所で大型蓄電池付き太陽光発電システムを導入する計画。
災害時の電力インフラを確保するとともに、10地区ごとに独自の電線で結んで連係させ、エネルギーネットワーク「マイクログリッド」(小規模電力網)を構築。さらに民間施設とも連携し、再エネ電力による地産地消を目指す。
設備導入の費用や維持管理費は、一部は国の補助金を活用し、残りはスマートソーラー側が負担するため町側の負担はない。町によると、民間企業が事実上、費用を全額賄う公募プロポーザル型事業の採択は国内初という。
20年度に町役場などで着工し、町内のほかの避難所や民間施設で設置に向けた調査を進める。23年春までに実現する予定。各地区で発電した電気は、同社が作る小売り事業者を通して町が買い取る計画だ。
同社は、既に町内でメガソーラー「北海道釧路遠野太陽光発電所」(出力34メガワット)を建設し、3月から本格稼働させている。
手塚博文社長は、今回の協定が「地域貢献の面もある」としつつ、「災害が多発化する中、避難所に、蓄電池付き太陽光発電設備を普及させて自立電源とさせることは喫緊の課題。普及を速めるためにモデルを考えた」と話す。
一方、同町のまちづくり推進課は「想定以上の内容の濃い提案だった。町の将来像を変える大きな事業になる。全国で導入が進むモデルになるのではないか」と期待を込めている。