2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 NECソリューションイノベータ 石井 力 社長

ヘルスケア取り組み強化
病気を未然に防ぐ事業展開

 昨年は公共、企業ともデジタルトランスフォーメーション(DX)需要が非常に高く、当社も順調に成長できた。自治体DXとシステムの標準化の動きが本格化したことも追い風になった。

 本業であるSI(システム構築)の高度化と、バリュープロバイダーとして新しいポジションを作るという二つの柱で事業を推進している。

 SIでは、短期的には収益の高い領域にリソースをシフトしつつ、中期的にはSIのモデル化を進め、年間1%の改善に取り組んでいる。顧客の課題に応じてソリューションを提供するオファリング型に切り替えて業種やテクノロジー領域に応じてモデル化する形で効率化を図り生産性を高めていきたい。

 スマートシティーの一環として、医療費削減にも貢献する「ヘルスケア」を強化している。子会社のフォーネスライフを通じて、血中のタンパク質から将来起こりうる疾病を予測するサービス「フォーネスビジュアス」に力を入れている。

 検査で将来の病気を予測し、アプリを活用して病気を未然に防ぐ「未病」に向けた行動変容につなげる取り組みだ。SI事業とは全く違った領域でのポートフォリオ変革を2~3年で進めていく。

 熊本県荒尾市や愛媛県今治市など約10自治体に導入され、さらに拡大する見込み。企業の健康診断や、旅行会社と連携して訪日外国人の人間ドックなど医療ツーリズムとも組み合わせていきたい。

 会計や人事給与、販売管理といった企業の基幹系システムを再構築するエンタープライズアプリケーションも実績が上がっている。顧客情報などさまざまなデータを分析して上流から業務コンサルティングを行い、基幹システムやデータ統合基盤を構築する事業で、百億円単位が動く大型案件でもある。NECグループのアビームコンサルティングに当社から約20人を出向させ連携も強化。約8000人の人材を有するアビームのコンサル力と、導入後のデータ活用で当社の知見を生かしシナジーを生み出していきたい。

インタビューに答える石井社長

 本年もIT市場は堅調に推移すると見込まれ、特にGX(グリーントランスフォーメーション)を意識したサプライチェーンの最適化が発展していくとみている。温室効果ガス排出量の可視化などNEC本体のサービスも使いつつ、アビームとも連携しながらGX領域にも挑戦していきたい。

 社員のウェルビーイングに向けては、心身の健康、働きがい、成長を柱に人的資本経営にも取り組む。