2020.04.09 電機各社、緊急事態宣言で在宅勤務徹底
在宅勤務を行う日立システムズの従業員
政府の緊急事態宣言の発令を受け、電機各社は対象となる7都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡)を中心に、在宅勤務の徹底を改めて通達した。
各社は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ目的で在宅勤務を含むテレワークを推進。3月末の東京都による外出自粛要請で、在宅勤務を徹底していた。
今回の発令によって対象地域で勤務する従業員は原則在宅勤務となり、在宅勤務ができない工場などは感染対策を講じて事業を継続させる考え。現状、各社とも通常操業を続けている。
総合電機各社は3月から本格的に進めている在宅勤務をさらに徹底する。各社とも「緊急事態宣言前から取り組んできた在宅勤務を継続する」としており、7日の発令を受け、再度従業員に認識の徹底を働きかけたところが多かった。
東京都内事業所約150カ所、従業員約5万人の原則在宅勤務を推進していた日立製作所グループは7都府県の事業所で原則在宅勤務の徹底を決めた。
対象は約10万人(在宅勤務ができない工場従業員含む)で、期限は設けず当面在宅で対応する。工場は通常操業しており、自治体などの要請によって個別に稼働の継続を判断する。既に3日時点で5万人以上がリモート接続しており、今後も環境整備を強化するとしている。
日立システムズは、既に東京、神奈川、埼玉の事業所で働く従業員を対象に原則在宅勤務を促していたが、緊急事態宣言を受け在宅勤務の対象地域を7都府県に広げる方針を決めた。
国内全従業員8万人を対象に在宅勤務に取り組んできた東芝は在宅ができる全拠点の従業員を原則在宅勤務にする。
生産やサービス、物流活動に関わる拠点は感染リスク軽減策を講じた上で活動を続ける。工場関連は現状、一部ラインを除き通常操業している。
三菱電機は緊急事態宣言を受け、対象の7都府県の従業員を原則在宅勤務にする。パートや派遣などの非正規雇用者も対象。
7都府県内にある26拠点に勤務する約2万人のうち、約2000人が製造現場に従事しているが、2メートル以上の間隔確保など感染症対策を徹底しながら業務に臨む。それ以外の約1万8000人は原則在宅勤務。在宅勤務の利用者拡大に伴い、ITシステムの増強も図っている。
パナソニックは従業員の安全を最優先に事業を継続していく方針で、対象地域の事業場では原則在宅勤務を決めた。
ただ工場など、事業継続のために必要な部門は出社し継続する計画。7都府県に約30拠点ある工場は従業員の安全確保を大前提に生産を続ける。
ソニーは3月末の外出自粛要請を受け、東京と神奈川の事業所の約2万人を対象に順次在宅に切り替え、6日から在宅勤務を徹底してきた。発令を受けて対象地域の在宅勤務をより一層強化するとしている。
シャープは既に進めている在宅勤務を7都府県に拡大するとともに取り組みの再点検を行う。大阪・兵庫・福岡では、首都圏と同レベルでの対策を実施。工場や事業拠点は通常操業。
ダイキン工業は対象都府県の在宅勤務を徹底する。役員、部長層は現場指揮のために出社するが、その他社員は原則在宅勤務を決めた。工場・事業所の生産、サービス、営業活動は継続する。フーハ東京・大阪(ショールーム)は閉館する。
富士通は時田隆仁社長が社内イントラネットを通じて、グループの全従業員約13万人にメッセージを発信。
外出制限やテレワークなど物理的な制約を受けながら業務を続ける従業員を労い、「ICT社会インフラを支えるという使命がある。お客さまや同僚を思いやり、普段以上に密なコミュニケーションを図ることで一体感を高め、共に乗り越えていこう」と、難局を乗り切る決意を述べた。
宣言に基づきテレワークや社内会議のWeb化などを徹底するほか、顧客や協力企業に対面で行う面談の延期検討や電話会議への切り替えなども一層進める。
NECは全社員6万人が在宅勤務できる環境を整え出勤を最小限にしていたが、5月6日まで指定地域で勤務する全ての従業員を在宅勤務にする。
事務機各社
緊急事態宣言を受け、事務機各社も在宅勤務を徹底する。リコーグループは「リモートワークをさらに進め、これまで以上に徹底していく」としている。対象区域の事業所は原則在宅勤務で、在宅が困難な業務は最小限の出勤体制を敷く。
富士ゼロックスは、積極的な在宅勤務とリモートワークを推奨。「お客様への商品・サービスの提供に支障が生じないよう、最大限の努力を継続していく」としている。
キヤノンは7日から17日まで本社(東京・下丸子)、川崎、小杉、玉川、矢向の各事業所の休業を決めていたが、8日には平塚事業所と綾瀬事業所の休業も決め、期間も5月6日まで伸ばした。グループのキヤノンマーケティングジャパンは9日から在宅勤務のほか、従業員の輪番での休業を実施する。
コニカミノルタは在宅勤務の徹底と同時に、「お客様企業のテレワーク導入を支援していく」(コニカミノルタ)としている。カシオ計算機も対象地域の原則在宅勤務を決めた。
通信・放送事業者
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話3社は、政府の緊急事態宣言の発令を受け、店舗の営業時間を短縮する方針を示した。
ドコモは全国の販売店の営業時間を午後4時までとする。ソフトバンクは対象7都府県の販売店の閉店時間を5月6日まで午後4時とするほか、福井、岐阜、茨城、熊本、大分の各販売店でも短期間の短縮営業を実施。
KDDIでは既に実施している一部販売店の短縮営業を延長し、5月6日まで緊急事態宣言および外出自粛要請対象地域の販売店の営業時間を午前11時―午後5時または正午―午後6時とする。
3社は既に、各種教育機関の休校措置を踏まえ、学生のオンライン授業の利用を支援するために25歳以下のユーザーを対象とした通信量の負担軽減策を講じているが、KDDIは7日、新たな割引サービスを発表。
データ使い放題の四つの料金プランに今月中に新規加入した場合、申し込みから2カ月間、月額料金を2000円割り引く。
有料多チャンネル放送3社も対応を打ち出した。ジュピターテレコム(JCOM)とグループ各社は、事業継続計画(BCP)に基づいて運用体制を整え、サービスの提供を継続。
サポート窓口については引き続きカスタマセンターの営業時間を午前10時30分-午後6時とする。ジェイコムショップは当面、臨時休業。
WOWOWは2月末から全従業員を在宅勤務としているが、これを5月6日まで延長する方針。スカパーJSATホールディングスも既に実施している在宅勤務体制を一層徹底。期間を延長し、感染拡大防止に努めるとした。
また教育機関などの休校装置を踏まえ、JCOMでは「MOBILE A」プランスマホセットと同タブレットセットを利用する25歳以下のユーザーに対し、5月31日まで追加購入したデータ容量を最大30ギガバイトで無償で提供する。