2024.03.26 【電子部品メーカー/商社 大中華圏拠点特集】中国、最低賃金の引き上げ進む
中国では、経済成長や労働者不足などを背景に、各都市でワーカーの賃金上昇が続いている。2022年はコロナ禍による経済低迷を背景に法定賃金改定を見送った都市が多かったが、23年は多くの都市が最低賃金引き上げを実施した。中国政府の「共同富裕」の指導方針もあり、今後も順次、賃金引き上げが進むことが想定される。
中国の各都市の法定最低賃金は、かつては毎年1割以上の改訂(引き上げ)が実施されたが、近年は2年または3年に1度の改訂に移行している都市が多く、上昇率自体は鈍化している。それでも、実際の企業の支払い給与は毎年着実に増加している。また、法定最低賃金に含まれない社会保険証などの付帯費用も年々増加している。
都市別では、上海市は23年7月の改訂で月額最低賃金が従来比3.9%増の2690元となり、中国国内では最も高額となっている(香港を除く)。
このほか、蘇州市が24年1月の改訂で同9.2%増の2490元に、北京市が23年9月、同4.3%増の2420元に改訂された。一方、広東省は、23年は改定は実施されなかった。
最近の中国では、特に沿海部の若年労働者不足が深刻なため、実際には法定最低賃金の1.3倍程度の条件を提示しないとワーカーの採用が難しい地域もある。このため中国進出の日系部品メーカーは、生産性向上のための改善活動を強化し、生産ラインの自動化・省力化を通じた生産効率向上に全力を挙げている。
また、大卒社員の初任給では、大都市では現在は月額7000元から8000元以上の水準となっているため、日本の給与水準との差が着実に小さくなっている。