2024.03.27 【関西エレクトロニクス産業特集】大阪・関西万博、海外パビリオンの起工式相次ぐ
海外館でトップを切ったイタリアの起工式
14カ国が起工式終える
着工済み12カ国、急がれる建設
大阪・関西万博の海外パビリオンでは自前で建設する「タイプA」の完成を目指し、年明けから今月にかけて起工式の実施国が増えている。3月25日時点で確認されただけで14カ国が起工式を終えたが、日本国際博覧会協会(以下万博協会)によると着工済みは22日までに12カ国。起工式を終えたが着工はまだ、起工式なしで着工、など国ごとに様子が異なる。
55カ国が独自パビリオン建設という予定数からすれば、着工国は依然少ない。しかし4月以降急速に「駆け込み」が増えることは十分考えられる。協会幹部は「夢洲(ゆめしま)での工事は活況を呈してきた。まさに開幕近しの感がある」と語る。
先週から今週にかけ起工式がいくつか行われたが、工区によっては建設中のパビリオンが姿を見せ始めた。昨年までの海外館は建設業者探しや建設手続きが難航、さらには資材や人件費の高騰により、着工にこぎ着けた国はゼロのまま越年した。
G7概要発表そろう
しかし年が明けると相次ぎ起工式や着工する国が増え、パビリオンの概要発表の国も相次ぐ。今月だけでも英国、タイ、スイス、カナダ、オーストラリア、などがパビリオンのコンセプトを明らかにしたことになる。G7は全て概要発表が出そろったが、海外館最大の目玉とされる米国は1月に概要を発表しているが建設計画はまだ公表していない。
海外館起工式のトップは昨年12月19日のイタリア。ローマの円形闘技場「コロッセオ」を模した外観、木材を組み合わせた工法は大規模基礎工事が不要という。
約3500平方メートルの敷地に建設する海外館では最大規模の中国は寒風の中、2月2日が起工式。中国古代の書物「竹簡」を模した外観、起工式には中国で習慣的に使用する「礎石」として長方形の白い大理石を持ち込んだ。
資材の再利用も
海外勢で着工した国の一番手は1月10日のシンガポール。ほか中国、韓国、オランダ、オーストラリアなどが続いたが、各国ともSDGs(持続可能な開発目標)を意識して木材の多用や建設資材の再利用を強調。
万博協会は、大型重機を使ったパビリオン建設の主要部分の工事期限を10月中旬に設定、各国とも内装含め遅くとも来年3月までに完成させ、開幕に間に合わせたい意向だ。
しかし今年4月からは建設業界などの残業規制もある。ある会場建設の関係者はひとこと「最後は突貫工事かな」。今後パビリオンの着工が増えると外部から建設現場への往来で会場へ通じる道路渋滞を懸念する関係者も多い。
これから梅雨時を迎える。雨中、工事車両が現場から去る際に、出口でタイヤに付着した泥を除去してもらう「洗浄順番待ち」渋滞も懸念材料として残る。
いずれにせよ建設業者未定は約20カ国ある。建築、内装、展示、検査などのプロセスを経て各パビリオンは2025年4月13日を迎える。