2024.04.05 【やさしい業界知識】白物家電

家事負担軽減や省エネ

市場ニーズが大きく変化

 白物家電は、家事負担の軽減により、生活をより便利・快適にする必需品として、ルームエアコンや冷蔵庫、洗濯機など主要製品で高い普及率を持つ。冷蔵庫や洗濯機、掃除機、炊飯器、電子レンジなど主要製品の普及率は9割を超える。

 普及率が高いため、今では多くの製品で買い替え需要が中心となり、ほぼ毎年安定した市場規模がある。

 白物家電には、ルームエアコンや冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、電子レンジ、掃除機といった主要製品のほか、空気清浄機や加湿器、換気扇、扇風機など空質関連、シェーバー・ドライヤーなど理美容関連、マッサージチェアなど健康関連まで、多彩なアイテムがそろう。

 白物家電の名称の由来は、室内インテリアに融合し、あまり主張せず、清潔感のある白色を本体カラーに採用することが多かったためだ。

 今では、生活家電と呼ばれたり、洗濯や掃除に関わる製品を家事家電、炊飯や料理に関わる製品は調理家電あるいは冷蔵庫も含め台所に置かれることが多いことからキッチン家電など、用途に合わせた呼称も販売店頭などでよく使われる。

 また、ライフスタイルが変化し、ニーズも多様化する中で、インテリアに映える高いデザイン性への関心も高まり、白一色ではなく、黒や赤などさまざまな本体カラーを採用する製品も増えた。

 本来、白物家電は主婦の家事労働からの解放を目指し、家事負担を減らし、生活を便利に、より豊かにすることを目指すという視点から開発され、普及を伸ばしてきた。現在も白物家電へのニーズは大きく変化していない。とりわけ現代社会では共働き世帯や高齢世帯が増加し、改めて家事負担軽減の視点は見直されている。

 また、コロナ禍を契機に、テレワークの浸透など生活スタイルは大きく変化し、共働き世帯や単身・少人数世帯の増加、高齢化などを背景に、多様化するニーズに応えられる機能、特長の開発が、従来以上に求められるようになっている。

IoT家電も普及

 このためIoT家電の普及も進む。クラウドサービスと連携したさまざまなサービスや機能のアップデート、遠隔操作などが可能なことから、より使い勝手が向上し、市場ニーズに応えられる。

 同時に、物価高騰、とりわけ電気代高騰を背景に、白物家電において「節電」「省エネ」機能への関心が顕著になっている。省エネは、買い替え需要を喚起する場合の重要なキーワードとなっている。

買い替え需要も

 白物家電は、普及率が高い主要製品(ルームエアコン・冷蔵庫・洗濯機・掃除機・オーブンレンジ・炊飯器)では、買い替え需要が、年間の出荷を支える。

 日本電機工業会(JEMA)がまとめた、2023暦年(22年1月~12月)の白物家電(民生用電気機器)の国内出荷金額は、前年比98.9%の2兆5433億円と、2年ぶりのマイナスだった。

 新型コロナが感染症法上の5類に移行(23年5月)してから、消費者の行動が明らかに外出・外食へとシフトし、耐久消費財への支出が減った。物価高騰も影響したようだ。

 24年度に入っても、こうした反動需要から抜け出せていないが、一方で買い替え対象の機器も多く、「省エネ」や「利便性」など、消費意欲を刺激する切り口での提案に業界が取り組むことで、回復していくとみられる。(毎週金曜日掲載)