2024.04.16 デル、中堅・中小のDX加速 AI通じ産学連携でPoC実施

左から木村西日本副支社長、中野執行役員、奈良先端大の安本領域長、諸原常務執行役員

 デル・テクノロジーズは、企業や大学が、AI(人工知能)を通じて、中堅・中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速する新たなプラットフォーム「DX イノベーションコネクト」を提供開始した。「安価にPoC(概念実証)が可能で、事業変革を進めたい企業と大学・研究機関のエコシステム、自治体の参画、地元企業の投資機会になる」と諸原裕二常務執行役員公共営業統括本部長は話す。

 同社は、事業変革の実現に必要なデジタル人材の育成・実践プログラム「DX アクセラレーションプログラム」を2020年から提供している。しかし、「社内で企業DX実現に向けたPoCフェーズに着手するには、企業の持つ知見・知財の面からも課題がある」と分析。

 同社では、毎年、「中堅・中小企業 IT 投資動向調査」を行っている。7回目となる「2023 追跡調査」ではAI/生成AIをはじめとしたテクノロジーの出現により、企業DX推進に向けた予算を増額した企業は4割を超えている。また、7割近くがデジタル人材の確保を内製化している。しかし、「DXを実現している企業はわずか8%。一方、生成AIなどの技術を活用し、DXを実現したい企業は7割(73%)を超えている。PoCフェーズへの移行が急務」と中野史紀執行役員広域営業統括本部長。

知見をビジネスに

 DX イノベーションコネクトでは、奈良先端科学技術大学院大学発のベンチャー企業dToshと運営する専用のプラットフォームを通じて、大学は最新の研究成果を提供し、企業はその知見をビジネスに生かす方法を探求する。「若手研究員が企業との共同研究先を探すことができ、民間企業の課題との擦り合わせ、ビジネスインキュベーションなどが期待できる」と同大学の安本慶一情報科学領域領域長は、産学連携のメリットを強調する。

 大学の先端的な知識と企業の実務経験が交わることで、企業DXのPoCを実施するための新たなビジネスアイデアやソリューションが生まれ、革新的なプロジェクトの加速が期待できる。また、各企業で実用化に向けて急速に検討が進む生成AIを「それぞれの企業・団体の業務に特化した情報で活用できるローカル生成AIを実現するソリューションパッケージも併せて提供する」(木村佳博西日本副支社長)。具体的には、Azure OpenAIと完全オンプレミスモデルの二つの生成AIソリューションを提供する。

 DX イノベーションコネクトは、DX Learning Community(データ分析・戦略立案)、ゼロタッチ タスク(RPA・業務自動化)、ローカル生成AIパッケージ(問い合わせ自動応答)、DXワークショップ(要件定義支援)、DXエンジニア養成講座(AI実装)までをカバーする五つのプログラムを用意する。

 同社では、「中堅・中小企業の課題解決に寄り添い、企業DX実現に向け支援していく」としている。