2024.04.19 【やさしい業界知識】スマートファクトリー

スマートファクトリーで省人化、自動化が加速

IoTで生産性大幅向上

工場の無人化、自動化も視野

 「スマートファクトリー」とは、工場の生産ラインや設備にIoT技術を活用することで、革新的に生産性を向上させた工場だ。将来的には工場の無人化、全自動生産化につながる。

 スマートファクトリーは「インテリジェントファクトリー」「コネクテッドファクトリー」「オートノマスファクトリー」などとも呼称される。

独の産業政策から

 スマートファクトリーの概念は、2011年にドイツ政府が発表した産業政策「インダストリー4.0(第4次産業革命)」が始まり。スマートファクトリーを中心とした生産革新を目指す。現在では「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」として普及が進んでいる。

 スマートファクトリーは、生産設備の稼働状況を「見える化」することから始まった。従来は作業者が目視で生産設備の稼働状況を確認、完成した製品の出来栄えなどを判断し、また故障した時は生産設備を止めて修理していた。

稼働状況見える化

 これを工場の生産ラインの設備にセンサーを取り付けることで、モーターや機械要素部品の振動、AE(アコースティックエミッション=物体が壊れる時に発する弾性波)などのデータを収集。ディスプレー画面で稼働状況をリアルタイムに「見える化」できる。収集したデータを解析し、異常をより早く検知して故障する前に部品を取り換えるなど、事前に処置することも可能になった。

遠隔監視にも利用

 また、センサーを取り付けた生産ラインの設備同士を通信でつないで、デジタルデータをやりとりすることで、不良生産が発生した場合には設備同士が自律的に原因を突き止めて自動的に修正するといったことも可能になった。さらに、中国の工場の稼働状況を、インターネットを介して日本で監視するなど遠隔管理もできる。

 日本は超高齢化を迎え、「世界の工場」と言われてきた中国でも同様に高齢化が進む。高齢化に伴って労働人口は減少し、人手不足対策として生産現場ではロボットの導入やスマートファクトリーによる省人化、自動化の需要が高まっている。究極のモノづくりは、生産の無人化、全自動化であり、実現が近づいている。(毎週金曜日掲載)