2024.04.19 【やさしい業界知識】データセンター

米グーグルは千葉県印西市に100%再エネの大規模DCを開設した米グーグルは千葉県印西市に100%再エネの大規模DCを開設した

本格的データ利活用時代迎える
市場規模は拡大の一途

 データセンター(DC)市場は、クラウドサービスの拡大や生成AI(人工知能)の登場で今後も高い成長が見込まれている。DCの新設、増設が相次いでいるが、ハイパースケール型DCの建設が本格化。日本のAI市場の急拡大を見込み、アマゾンやグーグル、マイクロソフトなど巨大外資IT企業が大規模DCの建設を活発化させている。一方、DCの消費電力は加速度的に高まるのは必須で、DCのグリーン化も喫緊の課題だ。

 IDCJapanの予測によると、2024年は、23年比1.55倍の5000億円超、27年にかけ年5000億円を超える投資規模が継続する見通しだ。市場規模も、年2桁の伸長を続け、26年には3兆2000億円と、3兆円の大台に乗る。

 本格的な「データ利活用時代」を迎え、DCの市場規模は拡大の一途といえる。DCは、自然災害などに対応したBCP(事業継続計画)としての需要に加え、データドリブンの経営戦略を支える基盤として、高い成長が見込まれる。

 特に生成AIの登場が今後数年間のDC需要のゲームチェンジャーになり、これまでの需要予測を大きく押し上げる。生成AIは、膨大なデータが必要になり、大規模DCの建設が求められている。

地方分散化

 国内のDCの約8割が東京、大阪に集中しているが、近年、千葉県、北海道がDCの集積地として注目されている。こうしたDCの地方分散化は、電力事情やリスク分散の観点からも必要で、経済産業省もDCの地方分散設置を支援している。

 千葉では米グーグルが昨年、100%再生可能エネルギー使用のDCを千葉県印西市に建設した。同社は、日本に1000億円を投資する計画を進めており、DC建設もこの一環。NECは、100%再生エネルギーを活用した「NEC神奈川DC2期棟」を23年下期から立ち上げ、さらに24年下期に「NEC神戸DC3期棟」を開設する。NEC印西DCをマルチクラウド、ハイブリッドクラウド対応拠点とする。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、千葉県白井市の「白井DCキャンパス」2期棟の運用を昨年開始した。同社は、松江DC、白井DCでカーボンニュートラルDCリファレンスモデルを提唱している。また、白井DC利用者への脱炭素化推進を支援する取り組みとして、非化石証書の直接調達を開始し、24年度から商用化に踏み切る。

高まる重要性

 クラウドサービス、AI時代の基盤となるDCの重要性は、ますます高まる。国も「ガバメントクラウド」を推進。IT外資大手が日本国内で相次ぎDC建設を本格化させるのも、こうした動きを反映。マイクロソフトは約4000億円を投じ、生成AIに対応する大規模DCを建設することを表明しており、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)もDCを大幅増強する。

 富士通は、全国各地にDC拠点を構えるが、館林DCを最先端技術、高品質運用とともに、最新のグリーンテクノロジーに対応した国内最高水準のDCと位置付ける。

 日立製作所は、「日立環境イノベーション2025」を踏まえ、DCのグリーンIT化を進めるとともに、モジュールDC、コンテナDCに注力する。

 NTTは新中期経営戦略の柱として、27年までに国内外でDC事業に1兆5000億円を投入する計画だ。NTTデータでは、30年までに再エネ化とともに、電力消費を可視化するシステムを開発、運用を開始した。

(毎週金曜日掲載)