2024.05.13 電子部品大手8社決算 6社が営業減益 今期3社が過去最高予想 半導体関連は下期から本格化
電子部品大手8社の24年3月期連結業績
電子部品メーカー大手8社の2024年3月期連結決算が10日に出そろい、6社が営業減益となった。円安効果により、売上高は前年並みを確保した企業が多い一方、産機・民生市場の停滞や顧客による在庫調整の長期化などが各社の収益を圧迫した。今年度の業績見通しは6社が増収、7社が営業増益を計画し、業績反転を見込む。
各社の23年度業績は、22年秋口以降の市況低迷が継続し、多くの企業が減収減益となった。為替の円安効果もあり、売り上げは3社が増収だったが、営業利益は過半の企業が2桁の減益。
分野別では、車載関連は半導体供給不足の解消で車の生産が進み、総じて堅調。一方、産機関連は、顧客の在庫調整が想定以上に長引いたほか、中国経済の低迷による設備投資の鈍化などで低調だった。ICT関連は、中国スマホ市場が底打ちし、直近ではやや回復傾向だが、23年度全体では厳しい状況が続いた。
8社の中で唯一、増収営業増益となったニデックは、重点を置く「車載」と「家電・商業・産業用」がそれぞれ増収となり、売り上げと税引前利益が過去最高を更新した。
TDKは、産機やICT、HDD(ハードディスクドライブ)市場の停滞により減収となったが、車載向けの販売増や二次電池の収益性改善、為替影響などにより営業利益は過去最高を達成した。
村田製作所は、リチウムイオン二次電池などの減少で減収減益となったが、1~3月の売り上げは、スマートフォンやコンピューター向けが上ぶれし、当初予想を約202億円上回った。
京セラは、ソリューション事業は増収を確保したが、コアコンポーネント、電子部品がそれぞれ減収。コアコンポーネントは、自動車関連市場での受注状況改善で産業・車載用部品の売上高が前年度比12.7%増と好調だったが、半導体関連部品は13.7%減と苦戦した。
アルプスアルパインは、自動車生産の回復や円安効果により、売上高が前年度比3.3%増となり、過去最高を更新。半面、民生・モバイル向けの市況低迷やモジュール・システムの新製品で歩留まり未達などが響き、営業利益は2桁の減益となった。車載向け製品群の減損計上により、最終損益は300億円弱の損失を計上した。
産機・民生市場を中心に低迷が続いた電子部品市場だが、24年度は、増収増益を目指す企業が多い。
車載関連では、「EV市場はやや踊り場を迎えているが、今後もADAS(先進運転支援システム)関連などが成長をけん引する」とし、需要は堅調との見方が強い。産機・FAや半導体製造装置関連は、在庫解消が進みつつあり、今年度下期からの本格回復が予想されている。収益面では、グローバル人件費高騰が各社の収益に影響を与えている一方、販売価格是正の動きが徐々に進展している。
地政学リスクや欧米の景気下ぶれリスクなど先行きへの不透明感残る中、24年度の業績予想はニデック、京セラ、ミネベアミツミの3社が過去最高の売り上げを計画。営業利益もニデック、TDKの2社が過去最高益を見込む。
(14日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)