2024.07.09 【家電総合特集】調理家電 時短・おいしさ志向が強まる 炊飯器やレンジなど

時短・おいしさ志向に応えた商品戦略が活発な調理家電

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 調理家電商品は、コロナ禍の巣ごもり消費で販売が拡大した商品も多かったが、現状ではその反動による調整局面を迎え、需要が伸び悩んでいる。

 調理家電の主役の一つである電子レンジ(単機能レンジ・オーブンレンジ)は、コロナ禍の2020年度に3年ぶりのプラス成長となり、日本電機工業会(JEMA)の統計では前年度比8%増の358万3000台を記録。

 21年度も好調で、同1.5%増の369万1000台だったが、以降22年度は同4.5%減の352万4000台、23年度は同10.3%減の316万台と2年連続してマイナス成長にとどまっている。JEMAの見通しでは、24年度もほぼ23年度と同水準の推移とみられている。

 商品開発の面では、センシング機能を強化し、冷凍食品や常温の肉、野菜など食材の種類や大きさを気にせず、ボタン一つで最適に加熱し自動調理するなど、手間を省いておいしく仕上げる機能開発など、時短かつおいしさ志向にマッチした商品戦略が進んでいる。

 オーブンレンジではIoT化も加速し、食材の宅配などさまざまな外部サービスと連携するほか、クラウドからのメニューダウンロードで、後から欲しいメニューを増やせるなど、使い勝手が高まっている。

 ■炊飯器は高級機が健闘

 調理家電のもう一方の主役である炊飯器は、20年度に、巣ごもり消費の拡大で内食化の傾向が強まったこともあり、560万台程度の比較的高い水準での需要はあったが、21年度以降は需要が毎年縮小したまま現在に至っている。

 23年度は、前年度比6.2%減の454万4000台となり、4年連続のマイナスで推移している。

 ただ、おいしさ志向を背景に、ご飯の食味や食感を追求した高級タイプは健闘している。コロナ禍の20年度を底に、21年度以降市場では炊飯器の平均単価が上がっており、JEMAベースでの平均単価は23年度に2万2000円強まで高まった。

 ここ10年では最も高い平均単価となっており、価格が4万円以上の高級機種は、台数ベースで約6割になっている。

 今後炊き上がりのおいしさを追求することに加え、IoT化の進展などにより、さらに使い勝手を高めた商品戦略が進み、堅調な需要は見込めそうだ。

 このほか自動調理鍋をはじめ、幅広い調理家電商品群も、秋以降各社から新商品が計画され、市場活性化に期待がかかる。