2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体材料の動向 技術の高度化に照準 次世代材料開発を加速
先端フォトレジスト
電子材料メーカー各社の半導体用材料の技術開発が活発化している。エレクトロニクス技術やモビリティー技術が高度化し、脱炭素へのニーズも強まる中で、半導体市場への成長期待は従来以上に高まっている。材料メーカー各社は、半導体のイノベーションを促進する次世代のプロセス材料開発を加速させている。
半導体材料市場における日系材料メーカーのグローバルシェアは約5割に達し、ワールドワイドで高い競争力を有している。特に最先端半導体製造で使用される電子材料は、日本企業が極めて高いプレゼンスを発揮している。
半導体の前/後工程で使用される電子材料には、シリコンウエハーをはじめ、半導体フォトレジスト、ターゲット材、リードフレーム材料、封止材、ソルダーレジスト、半導体製造用高純度ガスなどさまざまな種類があるが、多くの分野で日本の企業の世界シェアは5割を超え、製品によっては9割超の圧倒的なシェアを有するものもある。
電子材料メーカー各社は、スマートフォンやウエアラブル機器などのモバイル端末や、次世代自動車、産業機器、データセンター(DC)、グリーンエネルギー関連などのアプリケーションの技術進化が進めるる半導体技術の高度化に照準を合わせ、次世代材料開発を推進する。
特に、AI(人工知能)が促進するサーバー/DCの高速・大容量化や、ADAS/自動運転技術の高度化、次世代携帯端末に対応する半導体の微細化や高性能化をサポートする技術開発に力を注いでいる。脱炭素/カーボンニュートラルニーズに対応した次世代パワーデバイス用材料開発も進展している。
半導体露光プロセス用では、半導体チップの微細化を支える次世代露光技術「EUV(極端紫外線)」向けの技術開発が活発。EUVリソグラフィーでは、波長13.5ナノメートルのEUVを光源とすることで、数ナノメートルの回路パターンをシリコンウエハーに形成可能。EUVリソグラフィーは、7ナノメートルプロセス世代以降のロジック半導体やメモリー半導体に不可欠な技術として、一部の半導体メーカーで実用化が始まり、今後、飛躍的な市場拡大が見込まれている。
このため、半導体フォトレジスト(感光材料)メーカーは、先端露光技術であるEUVやArF(フッ化アルゴン)レジストの技術開発や生産設備増強投資を活発化させている。
EUVペリクル(フォトマスク防じんカバー)では、過酷な露光環境への対応や高透過率へのニーズに対応する次世代EUVペリクル開発が進展している。
パワー半導体向けでは、車載・産機市場での省エネ・高効率化ニーズに対応する次世代半導体素材として、炭化ケイ素(SiC)材料や窒化ガリウム(GaN)材料の開発、生産能力増強の動きが活発。さらに、SiCやGaNよりもコスト性能に優れるワイドバンドキャップ材料として、酸化ガリウム(Ga₂O₂)の技術開発も進んでいる。酸化ガリウム半導体はSi半導体に比較して消費電力低減が図れるほか、SiC材料などに比較して結晶の成長速度が速いため、製造コスト削減が見込まれている。