2024.07.30 【家電流通総合特集】防犯対策商品など高齢者対象の補助金も増加 生活保護受給者対象にエアコンも

独自のチラシを作成しアピール(テクノプラス)

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 高齢者や生活弱者を支援する自治体関連の補助金も存在する。高齢者が特殊詐欺の被害に遭いやすい傾向があることを背景に、防犯対策商品などに補助を出すケースも多い。また、生活保護受給者など社会的弱者にエアコンの購入を補助する制度も。

 キシモトデンキ(東京都足立区)では、2023年度の「足立区防犯対策に係る防犯設備の設置及び物品購入補助金」を活用し、顧客の該当世帯約100件を回り、7割強で高機能ドアホンを売り上げた。

 補助金は65歳以上の者がいる世帯で高機能ドアホンを購入設置すると4分の3の費用が補助される。「点検や修理の訪問で補助金の存在を呼びかけ、顧客の周辺の世帯などにも声かけを行った」(岸本好正社長)といい、大きな成果につなげた。今年4月から同補助金の2期目が始まった。都営住宅への工事も許可が下り、広がった対象範囲での営業を進めていく。

 仁川電機商会(兵庫県宝塚市、宮上茂社長)は宝塚市が実施している「自動録音電話機等購入補助金」を活用し、電話機の販売につなげている。補助金の対象は、着信前自動警告機能と自動録音機能を有する固定電話または外付け録音機。固定電話の場合、購入価格または1万円のいずれかが安い方が補助される。同店は補助金に関するチラシを100枚配布。補助があるなら、と電話機複数台の成約につながった。

 エニータイムロッコウ(東京都練馬区、後藤勝社長)は、練馬区の住民税非課税世帯、児童扶養手当受給世帯、生活保護受給者で家にエアコンがない人を対象とした補助を活用し、今年既に7件以上の販売につなげている。補助は昨年度から始まった政策で、金額は本体購入費6万7000円、設置工事費3万8000円。利益が小さいが後藤勝彦店長は「基本的にはどんな依頼も受ける」と方針を示す。

 できるだけ購入者が自費で上乗せして払うことがないよう、補助金の上限額以内で見積もりを出している。区の政策が始まった昨年夏に福祉事務所から連絡を受けたことをきっかけに、昨年は計25件受注した。後藤店長は「仕事を受ければ次につながることもある」と話している。

 滋賀県では23年の特殊詐欺被害が過去最多の266件、6億2400万円になっている。中でも固定電話が入り口になる被害は全体の3割を占めることから、優良防犯電話(自動録音機能付き電話など)の購入者を対象に購入金額を補助する制度を6月からスタート。FAX付き電話機に5000円、電話機に3000円の補助が出る。滋賀県電器商業組合の組合店での購入が必須。

 大津市にあるテクノプラス(安本久志社長)では、補助金制度を紹介する独自のチラシを250部作成。安本社長は「電話の新製品も発売されている。補助額が昨年より上がっているので、これからの販売に期待したい」と話す。