2024.12.02 【家電、正しく処分していますか?】<上> 低いエアコン回収率、「価値ある」熱交換器が不適切処理

家電リサイクル券は、正しくリサイクルするために欠かせないものだ

 ボーナス商戦を前に、家電の買い替えを検討している人も多いだろう。使い古した家電には適切な処分が求められるが、中でもエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電の製造業者によるリサイクルが義務付けられている。2024年4月からは、有機ELテレビも対象になった。

 有料の「家電リサイクル券」で、引き取りと引き渡しを確実に行い、その状況を管理・監視している。01年4月に「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」が施行されてから23年が経過し、23年7月末時点の累計取引台数は3億台を突破している。

 23年度の取引台数ベースによると、4品目の回収率は、テレビが94.4%、冷蔵庫が86.7%、洗濯機が89.5%、エアコンが41.8%。エアコンの回収率が目に見えて低い。

 その背景には、資源価値が高い熱交換器などが不用品回収業者(ヤード業者)に流れて、不適切にスクラップ処理されてしまうことがある。他の3品目に対し、1世帯当たりの所有台数が増え新規購入が多くなっていることや、家屋とともに廃棄されることなどで、回収率が低くなってしまっていることも要因だ。

 再生プラスチックの供給量は年間14万トン。そのうち1.5万トンが家電4品目に再利用されている。家電リサイクルを根付かせるための課題としては、再生プラスチック品に対する消費者の受容意識を向上させるほか、環境保全効果に対するメーカーからの情報発信が欠かせない。

 家電リサイクルのために、家電を処分する排出者(消費者または事業者)と、家電を販売する小売業者、家電を製造・輸入するメーカーにはそれぞれ役割がある。

 メーカーの役割の一つが、小売業者から廃家電を受け取る「指定引取場所」の設置と、廃家電をリサイクル処理する「リサイクルプラント」の設置だ。

 メーカーは、家電リサイクル法の引き取り義務を履行するために、24年6月時点で全国に326カ所の指定引取場所を設け、45施設のリサイクルプラントを共同運用している。

 リサイクルプラントでは、廃家電を効率よく再生するためのさまざまな技術を使っている。

(つづく)