2025.01.01 【家電総合特集】暮らし&ホームソリューション’25展望 空質機器
花粉や臭い、除菌など清潔・快適志向に応える、さまざまな空質関連商品が提案されている
空気清浄機、花粉シーズンに向けて訴求
加湿器のニーズも根強い
空気清浄機をはじめ加湿器、除湿機、脱臭機など、室内の空気環境を整える空質関連商品は、カテゴリーによって濃淡はあるものの、ほぼ安定した需要がある。
空質関連の主力商品とも言えるのが、空気清浄機だ。近年は加湿機能を搭載した多機能タイプの商品が中心で、年中商品としての訴求に力が入る。
空気清浄機をユーザーが購入する理由の多くを、花粉対策が占める。このためスギ花粉が飛散を始める年明け2月以降に商戦のピークを迎えることになる。猛暑の翌年は花粉の飛散が多いとされることから、関心が高まりそうだ。
加湿器は冬場の乾燥対策、ウイルス抑制などに活用され、やはりこの時期に商戦ピークを迎える。女性ユーザー、さらには受験を控えた子どもがいる家庭などでの引き合いも強まる。
室内の臭い対策では脱臭機への関心が高い。とりわけ小さな子どもがいる家庭や介護が必要な高齢者がいる家庭、さらにはペットを飼う家庭での堅調な需要がある。コロナ禍を経て、空気の質に対する関心が全般的に高まったことから、潜在的なニーズは強いと考えられる。
空気清浄機は、空気質全般への関心が高まったコロナ禍の2020年度に、日本電機工業会(JEMA)統計で過去最高の出荷台数358万台を記録した。
ただ、それ以降は需要が前年割れで推移している点が課題で、23年度は150万台まで落ち込んだ。まずは安定して200万台の水準に戻すことが重要となる。
24年度も、JEMAの出荷統計によると、4~9月は台数ベースで前年同期比93.6%の56万台にとどまっている。
メーカー各社では何とか市場再成長を果たそうと、商品戦略を加速するなどテコ入れの動きが続く。
市況が低迷する背景には、トップメーカーのシャープによると、ユーザーの空気清浄機離れが進んだ影響があるという。目に見えない空気の汚れが、どれだけきれいになったかが実感できないため、使用を中止する人も多いようだ。
同社はこうした状況を打開すべく、高精度のセンサーを搭載し、空気の状況を見える化することで、空清効果を分かりやすくする新たな商品戦略に力を入れている。
冬場の乾燥・風邪対策として、加湿器のニーズは根強い。
加湿器には、気化式、スチーム式、超音波式、ハイブリッド方式など、用途や使い方に合わせて選べる多彩な加湿方式の商品がそろっている。
マーケットに参入するメーカーの数も多く、JEMAに加盟していないメーカーの方が多い状況だ。
JEMAの統計によると、加湿器の需要は年間で70万台強。非加盟メーカーも含めると240万~250万台程度の需要があるとみられる。
23年度は前年を割り込んで推移したものの、24年度上期は前年同期並みとなっている。需要の大半が下期(10~3月)となるため、今後の動きが注目される。