2025.01.01 【家電総合特集】暮らし&ホームソリューション’25展望 ルームエアコン

電気代が高騰する中、引き続き節電への関心が強いルームエアコン

省エネ・節電がキーワード

熱中症対策や物価高騰などで買い替え需要獲得へ

 2024年度のルームエアコンは猛暑、残暑の長期化がプラスに働き、前年同期を上回るペースで上期(4~9月)を折り返した。

 下期(10~3月)も冬場の主力暖房機として、ルームエアコンは店頭での主力商品の一つとなる。

 近年は物価高騰や電気代の高止まりに加え、酷暑・残暑によってエアコンの利用日数が増加。家庭の中で最も電力消費が多いルームエアコンでは、引き続き「省エネ」「節電」が大きなキーワードとなる。

 各社の25年モデルの発表が始まっているが、省エネ性能の向上とともに、清潔性や快適性も追求することで、より顧客満足度の高い商品戦略が活発になっている。

 ユーザーにとって最も関心の高い節電に関する各社の技術開発を中心に、ユーザーの買い替え・買い増し需要喚起につながる特長を店頭でも丁寧に訴求することで下期のエアコン商戦を活性化できれば、年間商戦の平準化にもつながる。

 24年の夏は酷暑・残暑が長期化し、ルームエアコン商戦にはプラスとなった。日本冷凍空調工業会(JRAIA)の統計によると上期(4~9月)は前年同期比109%(台数ベース)と2桁近い伸長へと復調してきた。

 前年の出荷が低調だった反動もあるが、エアコン市場は久しく700万台が基礎需要といわれてきた中で、近年は800万~900万台市場が常態化し、基礎需要が増加している。夏場の猛暑が続いているため、熱中症対策として必需品化していること、各部屋普及が増えていること、また、世帯数の増加も関係している。

 コロナ禍に見舞われた20年度には過去最高の1000万台を超える規模にまで拡大。在宅時間が伸びて、室内の空気環境に対する関心が強まったこともあってエアコンの買い替え需要や買い増し需要が顕在化した。

 エアコンの使用年数は10年が目安となっているが、近年の買い替えサイクルは長期化傾向にある。タイガー魔法瓶の調査(24年5月)では、冷蔵庫、テレビに次いで、家庭で長く使う家電の3番目がエアコンだった。

 このため、既に買い替え時期を迎えているエアコンの稼働台数は膨大にあり、潜在的な需要は大きい。25年も引き続き高水準の需要が見込める。

 電気代や物価の高騰や、年々暑さが厳しくなる夏場の稼働時間・稼働日数の長期化を考えれば、25年も省エネ・節電モデルを中心とした需要の活性化に期待がかかる。

 近年のエアコン開発の大きなテーマは省エネだが、一方で室内の環境を整えるための快適・清潔面での機能強化も活発だ。省エネの面では、エアコン運転時間の8割を占める安定運転時の省エネ制御や、IoT機能を活用した天気予報と連動した最適制御など、さらなる進化に力が入る。

 エアコン内部のカビ抑制など清潔面での機能も強化され、ハイスペックモデルを中心に買い替え需要を顕在化させるための特長が充実している。