2025.01.01 【家電総合特集】暮らし&ホームソリューション’25展望 冷蔵庫

省エネや食品ロス抑制など環境配慮の商品開発が進む冷蔵庫

食品ロス抑制技術が進化

省エネ・環境性なども重視

 冷蔵庫は、買い替え需要が中心となって毎年安定した需要が見込める。2021年度以降、前年マイナスが続き苦戦傾向にあるが、個人消費の緩やかな回復に伴い、徐々に需要は回復していく。

 冷蔵庫では、電気代の高騰を受けて、省エネ・節電機能の開発に力が入っている。併せて、食品をおいしく、長期に新鮮保存するための冷蔵・冷凍技術の進化など、本質的な機能の進化も続く。

 省エネ性、環境性、鮮度保持性能、さらには庫内の収納性など使い勝手の良さの追求も活発だ。ユーザーにとってメリットのある特長を訴求することで、買い替え需要を喚起させることが、商戦活性化のポイントとなる。

 近年は冷蔵庫における冷蔵・冷凍技術が進化し、食材の新鮮さ・おいしさを長く保ちつつ、IoT機能を駆使して食材を管理することが食品ロスの削減にも役立つといった、ユーザーのメリットにつながる冷蔵庫の商品戦略が活発化。

 食材をおいしく保存することで調理をアシストすることから、キッチン家電としての存在感も強まっている。

 共働き世帯の増加で、食材のまとめ買いや冷凍食品の消費が拡大していることに対応し、冷凍庫の大容量化を図る動きもある。冷凍食品を大量に保管しても取り出しやすいような収納性の改善にも力が入る。

 冷凍技術の中では、さまざまな冷凍温度帯により、各社独自の食品保存に適した機能の開発も進む。業務用並みの急速冷凍技術を生かした長期保存の技術も登場した。

 野菜室では、野菜の鮮度保持に向けた冷蔵技術が進化。適度な湿気を与えておいしさを長持ちさせる、あるいはLEDの光を当てて光合成を促しビタミンCを増量させるといった鮮度を高める技術もある。

 こうした野菜の鮮度保持や冷凍技術の進化は、社会課題となっている食品ロス抑制にもつながる技術と言える。長期に、おいしく保存し、野菜や食材を食べ切ることは、廃棄食材を抑制する効果がある。

 最新モデルでは、IoT技術を取り入れ、庫内にカメラを設置してスマートフォンから庫内の食材管理ができるタイプもある。二重買いや買い過ぎを防ぐことで、食品ロスを抑える。

 さらに進化した機能として、カメラからの情報をAIが分析し、どの野菜を早く消費すれば良いか通知したり、野菜使い切りメニューを提案する機能まで登場した。

 冷蔵庫では近年の大容量化と合わせ、設置性に配慮して奥行きコンパクト設計を取り入れる動きもある。

 また、家庭内で24時間稼働し続ける家電製品であることから、電気代が高騰する中、省エネ性も重要な開発の方向性だ。

 ドア開閉によってかかる庫内の負荷をAIが学習しながら、最適な冷蔵・冷凍運転制御を行い省エネにつなげるといった、最新の技術も搭載されるようになってきた。