2025.01.24 【開発のキセキ㊦】ナカガワ工業「結露防止ヒーター アル」 自信を持って北海道から発信
アルは、試行錯誤を重ねて生まれた製品だ(提供写真)
表面温度を60度以下に保ちながら結露を取るための構造を考えた「結露防止ヒーター アル」。中川富雄社長宅の二重窓を結露が発生しやすい一重窓に作り替え、実際の環境で実証実験をした。「自分でやっていることだから自信を持って提案できる」と中川社長は胸を張る。
研究開発拠点「恵み野テクノセンター」(研究開発と品質管理の拠点)の谷口正博所長は「構造ばかりでなく、デザインの調整も大変だった」と、見た目と性能の両立に苦労したことを明かす。
技術・品質管理を担う河谷佳則課長は、性能の確認や工業デザイナーとの意見のすり合わせを担当。「さまざまなスイッチを試したり、ミリ単位で台座を調整したりした。小さくしたくても、物理的に難しいこともある」と、小型化と見た目の美しさの両立に苦労したという。
営業を担当する中川慎一常務は「意見を出し合ってできた製品。デザインを良くするためにボルトを見せないように工夫している」とこだわりを語る。ボルトを隠していることも他社製品との違いになり、販売時の提案のポイントになる。
2024年12月に発売したアルは、恵庭市のふるさと納税の返礼品にも選定された。ふるさと納税専用サイトなどを通じて販売しており、需要の手応えは十分だ。今年の秋以降は、カタログ通販やインターネット通販がメインの販売店にも提案を進める。
中川社長は「お客さまに商品を広めるのも企業としての使命。ヒーターの技術で世の中の役に立ちたい」とし、北海道の地から良い製品を広めたいと意気込む。
アルの次には、持ち運びできる壁面ヒーターの製品構想がある。「窓下ヒーターの存在を知らない人も多い。困っている人はいっぱいいると思う。選択肢を広げていきたい」(中川社長)と述べ、新しいモノづくりに挑戦し続ける考えだ。