2025.01.22 【開発のキセキ㊤】ナカガワ工業「結露防止ヒーター アル」 5年がかりで製品化
(左から)河谷課長、中川社長、中川常務、谷口所長(提供写真)
ワンチームで、北海道から良いものを広げたい――。
窓下ヒーターなどを手掛けるナカガワ工業(北海道恵庭市)は2024年12月、「結露防止ヒーター アル」を発売した。窓の下に設置することで、結露や黒カビ、隙間風を防ぐ製品だ。窓下ヒーターとして20年間のロングセラー製品「マルチヒーター」などの技術を取り入れ、次世代品として開発。窓下ヒーターそのものの周知拡大も狙う。
アル開発の中心となったのは、中川富雄社長のほか、2006年に入社した中川慎一常務、12年に入社した「恵み野テクノセンター」(研究開発と品質管理の拠点)の谷口正博所長、谷口所長と同じ12年入社で技術・品質管理を担う河谷佳則課長。部材調達から加工、組み立てまで一貫生産する同社が、5年がかりで製品化した。
既存のマルチヒーターは、アルミの表面材に覆われた電気ヒーター4つが、床面に対して縦に並ぶ構造になっている。
それに対しアルの電気ヒーターは5つ。下段に3つ、上段に2つ配置した。上段のアルミの表面材を湾曲させることで自然対流を発生しやすくし、省電力でも結露防止の効果を発揮できる。黒カビや隙間風も防げる。
アルは、マルチヒーターでは結露が取れない窓でも効果を発揮することを目指して開発。結露を抑制するヒーターではなく「結露防止ヒーターとして売り出すことにした」(中川社長)。
電源スイッチも、1つから2つに増やして、使用環境に応じて上下段それぞれを切り替えて出力を調整できるようにした。
安全性も確保している。製品表面にカーテンが触れても火災の心配がないよう、サーモスタットによりヒーター温度が一定以上には上がらない設計を採用。第三者認証の「Sマーク」も取得している。
1991年に電子部品の組み立て事業で創業した同社。当時のCD-ROM読み込み機の生産工程で活用していたはんだ付けなどの技術が今に生きている。万華鏡の組み立ても手掛けており、ヒーター製品とともに恵庭市のふるさと納税の返礼品になっている。
電子部品の組み立てがメイン事業だった当時はユーザーの声を直接聞くことはなかったが、今ではそれができるようになった。中川社長は「お客さまの声を集めながら、5年、10年かけて受け入れてもらいたい」と話す。
(つづく)