2025.03.14 【中部産業特集】日本ガイシ 半固体電池「エナセラ」を提案 ウエアラブルデバイスに最適
超薄型で小型のリチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」
日本ガイシは、キャパシターとリチウムイオン二次電池の長所を併せ持つ超薄型・軽量の半固体電池「EnerCera(エナセラ)」をウエアラブルなど小型デバイス向けに販売している。生活、物流・小売業、産業、モビリティーの分野でIoTを実現していく。
CEATEC2024では、エナセラを搭載したスマートシューズや生体センシングパッチなどのデバイスを出展し、ソリューションを提案した。
正極活物質の結晶の向きをそろえて焼結したセラミック材料を含む固体の積層電池部材に少量の電解液を浸み込ませた半固体電池のエナセラは、ウエアラブルデバイスに最適だ。厚さ0・45ミリメートルと薄型で1円玉より軽く、曲面にも対応可能。使用している電解液はごく少量のため、くぎを刺しても発火せず、安全性が高い。
種類によっては、高速充電も可能で、自己放電で、電圧が低下しても性能劣化の影響を受けにくく、過放電状態でも再度充電すれば従来通り使用でき、長時間の保管にも耐えられる。
スマートインソールは、足にかかる圧力の状態を計測でき、理想的な動作を追求し、けがを予防できる。スポーツウエアに使用すれば体の動きのモニタリングも可能だ。
軽くて皮膚にフィットしやすく、心臓・脳波・睡眠のモニタリングや痛み改善デバイスなどにも用途が見込まれる。
用途例は①長距離ランナーに付けられる位置トラッカー。寒冷地でも長距離の通信ができ、マラソン大会やトレイルラン、スキー場、海上輸送などにも使える②放牧中の牛を温湿度、加速度、照度、ガスセンサーで見守る太陽電池駆動トラッカー。ペットの見守りにも使用できる。③生体認証を利用したデータアクセスカード。厚さ2.5ミリメートルの薄型デバイスで、パスワード入力なしで情報へアクセスできる。
エナセラはパウチ・コイン形の2タイプがある。エナセラパウチは曲率半径が40ミリメートルで、ホットラミネート加工にも対応しており、高速充電も可能といった特徴がある。用途はカード型デバイス、RFIDタグ、電子棚札などを見込む。
エナセラコインは、105度の環境下でも使用でき、条件により回路基板へのリフローはんだ実装もできる。定電圧充電が可能で、充電ICが不要、長寿命といった特徴がある。IoTデバイス、産業機器、自動車、バックアップ電源、多機能腕時計などに活用できる。
従来のリチウムイオン電池では難しかった分野での用途開拓を進め、スマート社会の実現に貢献する。