2025.04.21 カルビーがIP管理プラットフォーム 二次創作物が生まれやすい環境実現

IP管理プラットフォーム「かるれっと」

登壇者はカルビーのキャラクターを持って撮影にのぞんだ 中央が笙啓英取締役専務執行役員、左がCalbee Future Laboの松本知之ディレクター、右が同CXチームの関口洋一マネージャー登壇者はカルビーのキャラクターを持って撮影にのぞんだ 中央が笙啓英取締役専務執行役員、左がCalbee Future Laboの松本知之ディレクター、右が同CXチームの関口洋一マネージャー

 食品大手のカルビーは、インターネット上の取引記録を暗号技術で1本の鎖のようにつなげてデータを管理するブロックチェーン(分散型台帳)を生かした知的財産(IP)管理のプラットフォーム「かるれっと」を開発した。外部クリエーターが2次創作した同社の菓子キャラクターなどのIPを保護し、商品化する際の与信管理やライセンス業務を簡素化した。

 かるれっとは、外部クリエーターとメーカーをつなぐIP管理プラットフォームで、クリエーターが2次創作物が生み出しやすい環境を整えた。「じゃがりこ」といった同社の菓子などの2次創作を視野に入れている。

 具体的には、ユーザー登録したクリエーターはIPの使用申請にとどまらず、2次創作したデザインの作成後の監修依頼まで行うことができる。

 IPホルダーから許可が出ると、作品はグッズメーカーなどの特許利用者(ライセンシー)が閲覧できるギャラリーに掲載。ライセンシーはプラットフォーム上で使用を申請し許諾を得るという流れだ。

 カルビーの新規事業を担うCalbee Future Laboの松本知之ディレクターはIP事業の説明会で、「将来的には一般のクリエーターがメーカーのIPを借りて創作したものを販売につなげていく『CtoB(消費者から企業)』でのIP利用を目指す」と意欲を示した。

 かるれっとは、公的個人証明書を用いた認証情報を、多様な分野で本人確認として利用できる「分散型ID」と連携させることで、信頼性の高い権利証明と管理を行うことが可能だ。シンガポールのDataGateway(データゲートウェイ)が提供する電子的な財布「Woollet」と連携し、分散型IDや検証可能なデジタル証明書も実現している。

 開発を担当したCalbee Future Labo CXチームの関口洋一マネージャーは「かるれっとを通じてIP活用の分野から顧客の企業活動への円滑な参画を後押ししたい」と力を込めた。

 17日には、かるれっとを用いたIP事業の実証実験も始めた。第1弾として、2024年の同社のグッズデザインコンテストで入賞した外部クリエーター8人がカルビーなどと契約を結び、入賞したデザインを使用した商品企画を提案する。

 今後は、カルビー商品を食べる音を使った音楽レーベルの立ち上げに加えて、クリエイターを対象にしたコンテストなども行う予定だ。