2025.04.23 グーグルクラウドがパートナー戦略強化  新設の専門部署で業界ニーズを深掘り

22日にパートナー事業戦略の説明が行われた

登壇する上野上級執行役員登壇する上野上級執行役員

 グーグル・クラウド・ジャパンは、特定業界で深い専門知識を持つパートナー企業と連携し、業界特化型のソリューションを共同開発する方針を打ち出した。22日に開いたパートナー事業戦略記者説明会で表明した。成長が見込まれるAI(人工知能)エージェントなどの市場を視野に、パートナー事業を加速したい考えだ。

 同社は3年計画で、パートナー事業を段階的に拡大する方針だ。1年目の25年度は、事業拡大に向けて基盤づくりを進める「Transformation 1.0」と位置づけ、業界特有のニーズに応じた拡張性の高いソリューションの開発を進めるとともに、初期成果の創出に注力していく。

 具体的には、「インダストリーファースト」という考え方で、「インダストリーソリューション開発」や「パートナー収益性の追求」など5つの重要要素を含んだ共同ビジネスプランを策定し、パートナーと推進していく。

 こうしたパートナー事業に弾みをつけるため、日本法人独自の組織「インダストリーソリューション開発部」も新設した。

 これを機に、各業種に詳しい国内システム開発会社との連携を強化。連携先のパートナーが培った知見や技術にグーグルクラウド技術を組み合わせたサービスの開発を促す。同部は各業界の共通課題を解決に導くことに意欲を示した。

 パートナー事業本部の上野由美上級執行役員は「さまざまな業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要だが、推進は途中の段階にある。ソリューションも多岐に渡っているため、AIを活用した迅速な対応まで踏み込めていない業種が多い」と説明した。

 また、拡大するAIエージェント市場を見据えた「Agent2Agent」というオープンなプロトコルも紹介。異なるAIエージェント同士が安全に協調しながら複雑な作業を処理できるようにする仕組みで、今月上旬にグローバルに発表された。

 この取り組みでは、50社以上に上る技術パートナーに加えて、アクセンチュアやデロイトをはじめとした主要なサービスプロバイダーが参加している。

 上野上級執行役員は「25年はエンタープライズ領域においてAIエージェントが本格的に浸透する元年。パートナーとの連携を強化し、ともに変革の波に乗るための戦略を推進していく」と力を込めた。