2025.06.11 「AIを発展させる」 TSMCが横浜のイベントで強調 量子技術にも熱視線
国内市場について「40億ドル以上の規模に成長した」と語る小野寺社長
半導体受託製造大手のTSMC(台湾積体電路製造)は11日、主催イベントをパシフィコ横浜(横浜市西区)で開いた。半導体需要をけん引するAI(人工知能)の進化を踏まえ、「Advancing the AI Future(AIを未来へ発展させる)」をテーマとして掲げた。同社の半導体技術やAIの進歩による市場展望を示しつつ、量子コンピューティングなどにも焦点を当て、テック業界の方向性を提示した。
今回開催したのは、「TSMCジャパン・テクノロジー・シンポジウム」。世界各国で開いているイベントの日本版で、28回目になる。基調講演では、日本法人の小野寺誠社長のほか、ゲストとして富士通のヴィヴェック・マハジャンCTO(最高技術責任者)や慶應義塾大学の伊藤公平学長が登壇した。
小野寺社長は「昨年はウエハー149万枚以上を出荷した」と日本市場を開拓する手応えをアピール。熊本工場や横浜市などにある研究開発拠点で新卒採用を進めていることも明かし、人材育成に向けた姿勢も強調した。
ゲスト講演に臨んだ両者は、ともにAI普及に向けた取り組みに加えて、量子技術にも触れた。伊藤学長は量子分野を専門とし、富士通も量子コンピューターの開発を手がける。TSMCがこの有望な領域を積極的に後押しする姿勢が読み取れた。
同社が2028年の量産を目指す回路線幅が1.4ナノメートル級の次世代製造プロセス技術「A14」なども紹介。半導体製造技術で世界の先頭を走ることに意欲を示した。