2025.06.13 【育成のとびら】〈51〉2025年新入社員が入社前にほしかったサポート 1位「具体的な業務内容を学ぶ機会」
2025年の新入社員の入社に当たっては、一部の大手企業で初任給の大幅アップが発表され、話題になった。
背景には、激しい人材獲得競争に勝つために大幅な待遇改善が欠かせないという企業の危機感がある。
人材確保のために待遇改善だけでなく、入社前から内定者に対してさまざまなアプローチを行い、入社に向けた期待の醸成や内定辞退防止に取り組んでいる。
入社後、新入社員が組織にスムーズになじみ、社会人としての良いスタートがきれるようサポートを工夫している企業も多いが、新入社員はそうしたサポートをどう受けとめているのだろうか。
当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所が25年入社予定者を対象に行ったアンケート結果から探っていきたい。
アンケートで「内定期間中、内定先企業にもっとサポート・支援してほしかったものはあるか」と質問したところ、1位は「具体的な業務内容を学ぶ機会」(27.5%)、2位は「先輩社員との関係を築く機会」(25.6%)、3位は「業界の専門知識や専門スキルを学ぶ機会」(21.6%)だった。以降、「ほかの内定者との関係を築く機会」(16.8%)、「会社の商品・サービスを学ぶ機会」(16.5%)と続いた。
業務に関する知識を学ぶ機会や、入社後に関わる人たちとの関係構築に関する項目が上位を占めた。
成長を高める指導
1位に「具体的な業務内容を学ぶ機会」、3位に「業界の専門知識や専門スキルを学ぶ機会」がランクインしたことをみても、実務に即した専門的な知識・スキル習得に対する新入社員の高い関心がうかがえる。
このように、新入社員の興味は専門的な知識・スキルの習得に行きがちだが、どの業界・どの職種であっても必要とされる汎用(はんよう)的なビジネススキルがなければ、専門スキルの発揮も難しいのは社会に出ると誰もが感じることだ。
そこで上司や育成担当者は新入社員に対して、専門的知識だけでなく、まずは基礎的なコミュニケーション力や思考力、タスク管理能力などの知識・スキルを学ぶ習慣を身に付ける重要性を繰り返し伝えるべきだろう。
より高い成長を支援するためには、業務手順などの指導のみに取り組むだけでなく、例えば、今取り組んでいる業務はなぜその手順で進めるのか、全体の成果にどのような貢献をしているのか、その業務の背景にある意味や価値を伝えることも重要だ。
本コラム50回目で、25年入社の新入社員は貢献意欲が高いことを伝えた。自身が担う仕事の意味や価値を深く理解できるよう指南することができれば、成長へのモチベーションをより高めることが期待できる。
次回は、内定期間中にしてほしかった支援の2位に挙がった先輩社員との関係構築について、さらに掘り下げていく。(つづく)
〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉
【次回は6月第4週に掲載予定】