米半導体大手AMD（アドバンスト・マイクロ・デバイセズ）は12日（現地時間）、AI（人工知能）向け半導体の新製品を発売すると発表した。データセンター向けサーバーに搭載しAI処理を担う最新GPU（画像処理半導体）「Instinct MI 350」シリーズだ。

　今回投入するシリーズは、同社の最新アーキテクチャー「CDNA4」を採用し、「MI350X」と「MI355X」からなる。半導体需要をけん引するAI処理が用途の中心とになる。前世代と比べて最大4倍の学習性能向上と、最大35倍の推論性能を実現する。中でもMI355Xのコストパフォーマンスは高く、競合との比較でドル当たりの「トークン生成量」が最大40%増加する。

　AI開発基盤もアップデートし、最新バージョン「ROCm7」となった。競合である米エヌビディアのソフトウエア開発基盤「CUDA」と比べると、オープンなプラットフォームなことが特徴だ。米メタの「LLaMA」や中国発の「DeepSeek」などの主要AIモデルを初期からサポートしており、今回のバージョンで推論性能が4倍以上、学習性能で3倍以上向上するという。

　同社は汎用CPU（中央演算処理装置）プロセッサー「EPYC」も手掛けており、InstinctやROCmと組み合わせ、オープンながら同社製品によるエコシステムの構築を目指す。CUDAを自社専用のAI開発基盤とするエヌビディアとは対照的に、オープンスタンダードな設計思想となっており、こうした強みを武器に製品展開を加速したい考えだ。