KDDIとローソンは23日、次世代型コンビニエンスストア「Real×Tech LAWSON」の1号店を、KDDI本社移転先となる東京都港区の高輪ゲートウェイシティにオープンした。両社は「リアルの温かみ」と「テックの力」を融合し、これまでにない新しい顧客体験と店舗運営を実現する「未来のコンビニ」を目指す。

　1号店は、7月1日に本格オープンする「TAKANAWA GATEWAY CITY」内のTHE LINKPILLAR 1 NORTH6階に新設。KDDIの通信技術とローソンの店舗・地域データを連携させ、リアル店舗にデジタル技術を融合した。

　人工知能（AI）カメラで顧客の行動を解析し、商品棚の前に立つ来店者の動きや興味に基づいて、おすすめ商品をリアルタイムで提案。内容は棚の間に設置されたサイネージ（電子看板）を通じて情報提供する。

　店舗の一角には、AIアバターや専門スタッフによる遠隔接客を受けられる「Pontaよろず相談所」を設置。AIアバターが最適なサービスへの案内を行い、必要に応じて各分野の専門スタッフが対応する。

　店内には生成AIを搭載したコミュニケーションロボット「AI Ponta」も設置。自然な会話や占い、地域情報の案内など、顧客との双方向コミュニケーションを実現する。

　店舗運営面では、飲料陳列や清掃などの業務をロボットが担い、AIエージェントが業務量を分析・最適化する仕組みを取り入れた。従業員の負担軽減と働きがい向上を図るとともに、限られた人手でも持続可能な店舗運営を目指す。このほかにも唐揚げを自動で揚げるロボットなどローソン初のリテールテックが多数導入された。

　高輪ゲートウェイシティに実装される都市OS（基本ソフト）と連携し、天気や電車遅延、混雑情報など地域のリアルタイム情報をサイネージで提供。今後は人流データを活用した需要予測やフードロス削減も検討し、地域に根ざした生活インフラとしての役割強化も図る。

　KDDI新本社の社員専用フロアにも同様のローソン店舗を7月に開店する予定だ。

　KDDIの松田浩路社長CEO（最高経営責任者）は「オフィス内のコンビニと地域のコンビニではニーズも異なる。まずはオフィス店舗として何が有効なサービスなのか見極めていきたい」と語った。ローソン竹増貞信社長は「高輪での実証結果をもとに、日本全国に展開していきたい」と意気込みを示した。