2025.06.26 【複合機ソリューション特集】DX/AIソリューション

紙の電子化などDX導入を支援

生成AI活用も進む

 DX(デジタルトランスフォーメーション)、働き方改革など複合機と連携したソリューションが活発に展開されている。「モノ」から「コト」へ軸足を移したソリューションを各社が強化している。デバイス(複合機)を入り口に、新たな価値提案が期待されている。データをいかに価値創造につなげるか、生成AI(人工知能)の活用も本格化している。

 改正・電子帳簿保存法(電帳法)やインボイス制度(適格請求書等保存方式)などの法令対応が契機となり、中堅・中小企業のデジタル化が進んだ。しかし、デジタルデータを活用したDX化は、まだ道半ばと言える。

 リコージャパンが行った調査では、「電帳法に対応できている企業は、86%と8割を超えていた。しかし、約半数は、電子取引における電子データ保存のみで、ペーパーレス化は一部にとどまっている」のが実態だった。

 クラウドサービスの導入、紙文書の電子化などは進展しつつあるものの、専門のIT人材の不足、また、資金面など、依然、大きな課題となっている。「DXもどこから始めてよいか分からない」といった中小企業も相当数存在するのが現状だ。

 DX化の最大の課題は、紙文書の電子化だ。紙文書のデジタル化は、DX化には不可欠。一方で、スキャン業務などの作業が負担になり、DX化の遅れにつながっている。

 リコーは、自社のADF(自動原稿送り装置)技術と、業務用スキャナーで世界シェアトップのグループ会社、PFUの用紙搬送技術を組み合わせた複合機のSDモデルを投入した。企業の紙の電子化を支援する。

 富士フイルムビジネスイノベーションは、DXを加速するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」を提供している。

 IWproは、クラウド上のワークスペースに、業務に必要な情報や、データ化・確認・加工・出力・送信といった一連の業務を集約し、既存システムをつなぐことで協働を実現するサービス。新たに「IWpro Intelligent Assistantオプション」の提供を開始した。顧客企業の社内に蓄積された業務データを使って、自社の業務に最適化されたAIモデルを簡単に作成・活用できるサービスだ。

 同社では「中小企業は、IT人材が不足している。ITスキルがなくてもDX化が実現できるよう支援していく」として、新サービスの提案に力を入れる。

 キヤノンマーケティングジャパンでは、2022年に電帳法対応クラウドサービスとして「DigitalWork Accelerator(DWA)」を提供開始した。その後、業務に特化した連携を強化、25年度からは紙書類を複合機から直接クラウドに登録できるMEAPクラウドスキャンを提供、企業間取引における情報資産管理基盤に発展させている。6月30日からは、キヤノン製複合機とDWAを連携させる新アプリケーション「MEAP クラウドスキャン for DWA」を提供開始する。バラバラに受け取った書類も一元管理し、紙とデジタルデータの一元管理を素早くできる。

 リコージャパンでは、7月1、2日の2日間、東京で「RICOH Value Presentation 2025」を19年以来のリアルで開催する。テーマは「DX&GX~AI」だ。8月に商談準備AIエージェントのβ版を提供する計画だ。

 コニカミノルタジャパンでは、自社実践で得たノウハウをもとに複合機と連携したソリューション提案を行い、働く人々の生産性を高め、創造的な時間を創出し、個々が輝きながら働くことのできる環境構築を支援してきた。複合機のbizhub 1iシリーズでは、ソリューション連携を強化している。多様な働き方に合わせ、bizhub 1iシリーズに機能拡張を実現するプラットフォームKonica Minolta Marketplaceからスキャン、印刷、セキュリティーなどの多彩なアプリケーションを簡単に追加でき、業務のDX化を支援している。

 エプソン販売は、インクジェットの強みである低消費電力、省資源化などオフィスでの環境価値を訴求、自治体DX、医療DX、オフィスDXに注力。

 東芝テックは、複合機本体とクラウドストレージサービス「Collastorage」との連携を強化。コラストレージサービスの機能拡張を進めるとともに、他社にないRFIDライター対応機で、新規領域を開拓していく戦略だ。

 シャープは、スマートオフィスサービス「COCORO OFFICE」を提案している。近年のサイバー攻撃に対応、UTM(統合脅威管理)機能を搭載した「COCORO OFFICEサーバー」を発売している。