2025.12.02 三菱電機、多湿な土地で使える鉄道向けパワー半導体、インドでも展示へ

多湿な土地で使えるパワー半導体の標準絶縁品「CM1200HC-90XB」

高絶縁品「CM1200HG-90XB」高絶縁品「CM1200HG-90XB」

 三菱電機は、多湿な土地でも使える鉄道車両など向けパワー半導体モジュールを12月9日に日本で発売する。国内だけでなく、インドを含む世界各地の展示会に出展予定だ。

 大容量が特徴の「HVIGBTモジュールXB」シリーズの新製品で、耐電圧は4.5kV。絶縁耐電圧6.0kVrmsの標準絶縁品「CM1200HC-90XB」と同10.2kVrmsの高絶縁品「CM1200HG-90XB」の2機種を用意する。鉄道車両をはじめとした大型産業機器で、電力の周波数や電圧を変えモーターの回転数などを制御できるインバーターの高効率化、信頼性向上に役立つ。

 パワー半導体モジュールが搭載するチップは電力を変換、出力する有効領域と電圧を安定して保持する終端領域に分かれ、湿度が高い環境向けには水分などの影響で保持電圧が低下しないよう終端領域を広くする必要がある。一方で有効領域が狭くなるため高出力、低損失と耐湿性能の両立は課題だった。

 新製品はチップの終端領域に新たな電界緩和構造と表面電荷制御構造を採用することで、従来製品に比べ面積を約30%縮小しつつ約20倍の耐湿性能を持たせた。また独自のカソード側の電子移動度を最適化した独自のRFCダイオードと、キャリア蓄積効果を利用した独自の絶縁ゲート型バイポーラトランジスター構造(CSTBT構造)を採用した素子を搭載し、スイッチング損失を5%低減した。逆回復時安全動作領域における耐量(RRSOA耐量)も約2.5倍に拡大している。外形寸法は標準絶縁品が140×190×38mm、高絶縁品が140×190×48mmで電極端子の配置も含め従来製品と同一。置き換えが容易としている。

 2026年1月21~23日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催する「第40回ネプコンジャパン エレクトロニクス開発・実装展」をはじめ、北米、欧州、中国、インドなどの展示会へ出展予定だ。