2026.03.13 横河電機、外来遺伝子を一切使わない植物のゲノム編集に成功 品質改良を後押し
実体顕微鏡に取り付ける「SU10」(左)と、ナノピペットの拡大写真(右)
横河電機は、外来遺伝子を一切使わない植物のゲノム編集の実験に成功したと発表した。細胞単位で物質を届ける装置を利用して得られた成果で、植物バイオテクノロジーに関する研究や品種改良などを後押しする。
今回の実験で用いた装置は「SU10」で、「Single Cellome Unit(シングル・セローム・ユニット)」と呼ぶ。具体的には、自社で製造する極微細なガラス針「ナノピペット」の動作を精密に制御し、一つの細胞レベルでターゲット部位へ物質を直接デリバリーしたりサンプリングしたりできる。SU10に実装した自動ナノデリバリー技術を代表的な実施形態とする植物ゲノム編集方法に関して、特許を取得した。
成果を受けて同社は3月から、植物バイオテクノロジー特化ベンチャーのインプランタイノベーションズ(横浜市)が提供する研究開発向け植物ゲノム編集の受託試験サービスに対し、非独占の特許ライセンス提供に加えて、装置レンタルや実験サポートなどの技術支援を始めた。
SU10は、ナノピペット先端のイオン電流の変化を用いて細胞表面を非接触で自動検知。その検知をトリガーとして、「穿刺・注入・抜去」といった一連の工程までを全自動で実行し、実験者による技術の熟練度のばらつきを抑えた再現性の高い「1細胞操作」を実現できる。注入には電気浸透流を利用し、電圧と時間で注入量を制御することで、「フェムトリットル(1リットルの1000兆分の1)」級の極微量操作が可能だ。先端の外径は数十ナノメートルと極めて細く、バイオ研究分野で最小クラスという。
近年、地球温暖化や食料需要の増加を背景に、高収量で安定的に生産できる農作物や病害虫、環境ストレスに強い作物へのニーズが高まっている。さらに、健康志向の高まりを受け、商品の栄養価や味の改善を目的とした植物バイオテクノロジー分野の研究開発も活発化している。









