2026.03.31 ドイツ、航空分野での水素利用で技術的めど 実証実験で燃料電池の作動確認
航空用燃料電池のプロジェクトチームとシュニーダー独連邦交通相(左から4人目)
ドイツ連邦交通省は、航空分野での水素利用を目指す研究プロジェクト「H2Sky」の実証実験が当初の計画通り終了したと発表した。二酸化炭素(CO₂)排出を抑制する航空用途に適した次世代航空燃料として技術的なめどがついたとしている。
航空機用の燃料電池が注目される理由として、飛行中にCO₂を排出しないこと、騒音が小さいこと、短距離の都市間航空に適していることなどが挙げられる。
今回の実証では、航空用として設計された燃料電池スタックが実験環境下で安定して作動することを確認した。単なる地上用燃料電池の転用ではなく、出力範囲100~200kWを想定し、飛行中に求められる連続運転や負荷変動への耐性、さらに劣化や寿命といった航空機特有の運用条件を設計思想に組み込んだ点が妥当だと評価された。
最終成果の報告会は、ドイツ南部バーデン=ヴュルテンベルク州で行われた。出席したパトリック・シュニーダー連邦交通相は、「H2Skyプロジェクトではドイツ発の技術が低排出航空への道を切り開くことが実証された」と強調した。
H2Skyは、2022年にスタートした産官学プロジェクト。主導したのは、航空機製造の仏エアバスと、独燃料電池・自動車部品メーカーのエルリングクリンガーの合弁事業「Aerostack(エアロスタック)」だ。エアロスタックは、民間航空向け燃料電池の開発と商用化が目的。そのほか、燃料電池技術のEKPOやフラウンホーファー・ソーラーエネルギー研究所、ミュンヘン工科大学、バーデン=ヴュルテンベルク州太陽光・水素研究センター、フライブルク大学がコンソシアムのメンバー。ドイツ政府は、このプロジェクトに2650万ユーロ(約48億円強)を支援している。
今回の成果は、燃料電池単体の技術検証にとどまる。実際の飛行では、極低温で水素を貯蔵するタンクの開発や熱管理、電力制御装置など、解決すべき課題が残されている。商業機としての実用化までの道のりは、なお険しい。
燃料電池を搭載した商用機については、エアバスが「Zero E」計画として、2035年をめどに商用化を目指してきた。しかし、現在は優先度を引き下げ、2040年の商用化が現実的としている。












