2020.07.21 【家電総合特集】 国内市場、IoT家電が拡大ライフスタイルの変化で普及に弾み
夏も在宅時間が増えることが予想されるため、エアコンの盛り上がりに期待がかかる
国内の家電市場は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要の変化が色濃く出ている。ライフスタイルの変化により需要が急増した製品がある半面、趣味色の強い嗜好品は苦戦している。家電メーカー各社は、新しい生活様式で生まれる需要を捉えるために、購入後もアップデートが可能なIoT家電を軸にした戦略を加速する動きを強めている。
国内の家電市場では、ここ数年でIoT家電のラインアップが増えている。ロボット掃除機や空気清浄機などの小型製品から段階的に機種が増えていったが、現在ではエアコンや冷蔵庫、洗濯機といった大型白物家電にも対応機種が広がっている。
AV関連でも、ネットワークとの親和性の高いテレビやブルーレイディスク(BD)レコーダで対応が早くから進んだ。外出先からもコンテンツを視聴できるスマートフォンとの連携メリットは大きく、ユーザー層の裾野を広げている。
新型コロナの影響でこうした状況がさらに進んでいる。自宅で過ごす時間が増えたことから、IoT化が進んでいたオーブンレンジに代表される調理家電では、クラウド連携によるレシピ検索機能の利用が広がった。
食材配送サービスと連携した機種では、その利用も急激に増えるなど、従来さほど利用されてこなかったような、IoT家電ならではの連携機能が注目を集めるようになっている。
今年の夏商戦は、ボーナス支給が一部企業で厳しい面はあったものの、特別定額給付金の交付もあって高単価な製品の引き合いが強い。特に付加価値の高い機種に位置付けられるIoT家電は、今後、新しい生活様式に合わせた機能を提案していくことが、普及に弾みをつけるきっかけになることが期待されている。
IoT家電は市場に広がってきているが、ネットへの接続率は決して高くない。同時に、接続しても家庭で実際に利用しているかどうかは未知数だ。IoT家電の〝アップデータブル〟な利点を生かして、変化したライフスタイルに合わせた機能を素早く提供していくことにより、市場のシェア構成は一気に変わる可能性がある。メーカー各社にとって今年の後半戦は、例年以上に柔軟に構えた戦略で臨む必要がありそうだ。