2020.08.31 アンカー・ジャパン 積極的な投資戦略推進日本で事業拡大めざす 研究開発、人員強化に注力
新規上場について説明する井戸社長
アンカー・ジャパンが日本での事業拡大を目指し、研究開発や人材への投資を加速させる。19年度(1-12月期)は約135億円の売上げを記録して、日本法人設立時の13年度9億円から大幅に売上げを増やしている。グローバル本社が新規上場して約420億円の資金を調達したのを機に、日本でも積極的な投資戦略を進めていく。
新規上場で資金調達
24日、中国アンカー・イノベーションズ・テクノロジーが深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板(ChiNext)」に新規上場し、約420億円の資金を調達した。
資金調達の狙いは四つ。①コア技術の新規創出と既存製品の進化のために、中国・深圳にある研究開発部門に約69億円投資②AI・ソフトウエア応用技術の開発や品質管理の強化のため、中国・長沙にある研究・品質部門に約54億円投資③グローバルにおける営業・業務体制の強化と顧客サービスの強化のため、長沙にある運営・CS部門に約29億円投資④その他の戦略的投資や日本での展開加速などに約268億円投資--の四つだ。
上場に際し、オンライン会見を開催したアンカー・ジャパンの井戸義経社長は「上場で獲得した資金を研究開発と人員強化に投資し、これまで以上に速いペースで新製品を開発していく」と意気込む。
アンカー・ジャパンは、コーポレートロゴも刷新。グローバルでは既に数年前に変更されており、上場による事業加速を機に、日本でもロゴの刷新に踏み切った。
同時に、モバイルプロジェクタなどを展開する「Nebula(ネビュラ)」を事業ブランドの一つとして立ち上げ、販売加速を狙っていく。
猿渡歩COOは「上場で幕を開けたアンカーグループの第2章に期待してほしい」と展望を語った。
昨年上回る成長継続
アンカーグループは、19年度で約1050億円の売上げとなり、20年度上期も約543億円と前年比25%増を達成するなど、新型コロナ禍でも強さを見せる。日本法人も同様で、今年度上期で82億円以上の売上げを積み上げ、昨年を上回る成長を継続。「足元でも数十%売上げを伸ばしている」(猿渡COO)とする。
日本では7-8割はオンラインでの売上げで、そのうち9割近くがアマゾンでの販売。今後は製品戦略とチャネル戦略に加え、ブランド戦略を強化する方向だ。
オンラインが主力だが、チャネル戦略では直営店の展開も重視している。9月5日には梅田ロフト(大阪市北区)に直営店をオープンし、全都道府県に設置することにも意欲的だ。
オンラインとオフラインで存在感を示すとともに、新たに立ち上げたネビュラブランドをはじめ、モバイルバッテリなどのアンカーブランドなど、主力4ブランドの価値を高めるプロモーションを展開。日本事業の一層の成長につなげていく構えだ。