2020.09.18 【ASEAN特集】飯田通商独自技術の貼り合わせ事業強化
飯田通商のタイ工場
飯田通商は65年設立の電子部品商社で、現在は国内に加えて中国、ASEANを中心に事業拡大に取り組んでいる。
EMS事業も手がけており、業界に先駆けて93年に中国・東莞で製造会社を設立。13年にはタイとミャンマーに全額出資の自社工場を設けた。
森山篤取締役生産本部長は「部品調達から生産受託まで一貫体制を備えている強みを武器に事業を展開してきた。一方で、中国の賃金高騰、競合メーカーが増大する中、基板実装など規模を追うビジネスから、質を追うビジネスへ転換を進めている」と強調する。
マザー工場と位置付ける東莞工場にはクラス7のクリーンルームを設け、独自開発の設備技術による貼り合わせ事業を展開する。
森山取締役は「東莞工場のミラー工場として長年培った①微細実装技術②貼り合わせ技術③組み立て技術の三つの特徴をASEAN地区の工場で水平展開し、米中問題に悩まされているお客さまの受け皿としてニーズに応えていく」と話す。
タイ工場では、実装機7ラインによる基板実装と、クリーンルーム(クラス7)でのスマホをはじめとした貼り合わせ事業を主力に、日本品質水準でのモノづくりを目指している。スマホなどで採用が進む0201部品対応の実装機を導入。民生/産業/通信機器、電子部品など幅広い分野を対象に生産を行う。
ミャンマー工場は安価で豊富な労働力を生かし、主に労働集約型の組み立てと電子データ作成の事業を展開。特にAI教師データ作成は、これからニーズが高まる市場であると見て注力する。新型コロナ禍で顧客の働き方が変化する中、手書き注文書をCSVへ変換し提供する入力代行など、いち早くニーズをキャッチ。来年度には従業員を1千人規模まで倍増させる。
ASEANの2拠点体制を生かして、タイで半製品を生産し、ミャンマーで完成品にまで仕上げる2工場間での一貫体制を敷く。コスト低減につながると受託先からも好評なことから、今後はこうしたビジネス提案も強化していく方針だ。