2020.09.25 【九州・山口産業特集】人吉アサノ電機「エレワイズ」で空調コストを削減
浦川 常務
人吉アサノ電機(熊本県人吉市)は、今期(20年9月期)の実績は減収増益の見込み。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マグネットリレーの受注や無線式ピーク電力制御システム「エレワイズ」の商談件数が減少した影響で減収となったが、エレワイズの運用・保守による収益が前年の2倍に伸長したことでカバーした。
エレワイズは空調に特化して、遠隔で電力ピークの監視・自動制御を行うパッケージ商品。無線のため設置コストが低く、クラウド化していることでメンテナンスが容易な点が強みだ。自治体からの引き合いも活発化し、学校や博物館など公共施設への導入も進めている。
浦川敬常務は「一度設置工事をすれば、定期的な運用・保守業務で安定した収入を得られる」と話す。
来期は空調以外の分野も一括で管理ができる新製品を発売する。エレワイズを導入した取引先から、温湿度なども管理したいといった要望があり、より広いニーズに応える。
新製品はブルートゥースやI²Cなどの通信が可能な機器からデータを吸い上げ、親機に転送する仕組み。
8月に、県内のばね工場で温湿度管理の用途でテスト導入しており、「想定よりも完成度が高い」と評価された。
正式リリース後は、畜産分野におけるアンモニア濃度や、教育現場におけるCO₂などの管理で活用する方針だ。
人吉市は、7月に九州を襲った記録的豪雨災害に伴う復旧作業が続いており、多くの旅館や商店などが休業を余儀なくされている。同社は14日、復興支援のため、同市に1000万円を寄付した。
浦川常務は「当社が、水害や新型コロナの影響下でも利益を出すことができたのは、地域や自治体の協力のおかげだ。災害当時は従業員の支援で精いっぱいだった分、少しでもお返ししたい」と語った。