2020.09.30 【電波新聞70周年特集】モビリティ「CASE」への対応がカギ

コネクテッドなどの技術を搭載した次世代コックピットの提案が加速(写真はアルプスアルパイン)

 モビリティの市場はいま、大きな転換期を迎えている。自動車業界には「CASE(コネクテッド/オートノマス=自動運転/シェアリング/エレクトリック)」と呼ばれる潮流が押し寄せており、100年に1度の大変革期とも言われている。

 そうした中で、カーエレクトロニクスに関わる企業の対応も大きく変わろうとしており、この数年は業界再編も始まっている。これからはCASEへの対応をいかに進めていくかがカギになる。

 カーエレ各社はこの数年、OEM(相手先ブランドによる生産)ではコネクテッドをキーワードにした技術開発に注力。

 一方、市販では安心安全を重視しつつエンターテインメントの機能開発などを進めてきた。各社ともOEMと市販の両輪での取り組みを進めており、時代の流れに速やかに対応できる体制づくりをしてきている。

 この1-2年の業界再編の動きも活発だ。

 クラリオンが日立製作所グループからフランス自動車部品大手のフォルシアグループ傘下に入ったほか、パイオニアはアジア系投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアで再生を始めている。

 アルパインは19年1月1日付でアルプス電気と経営統合しアルプスアルパインとしてスタートを切った。

 19年は日立製作所が日立オートモティブシステムズとホンダグループ部品各社との経営統合を発表。まさしく一社での取り組みではなく合従連衡が進んでいる。

 カーエレ各社が目指すのはCASE時代での生き残りだ。特に自動運転やコネクテッドの時代は一社の技術では何も解決できない。

 クラリオンはフォルシアとの連携を加速させるとともに、アルプスアルパインは旧2社の技術融合を図る。

 他社協業なども進む。アルプスアルパインはフリービットと協業しブロックチェーンなどを活用したコネクテッド時代の新サービス開発を強化したほか、エンターテインメント関連の連携などにも取り組む。

 パイオニアはスタートアップとの資本提携を行うなど、新サービス創出に向けた取り組みを本格化している。

 毎年1月に米ラスベガスで開催される世界最大規模の見本市「CES」では総合電機だけでなく自動車メーカーが多く出展するが、今年は電機メーカー、自動車メーカーというくくりではなく、スマートシティの実現を目指す提案が相次いだ。

 象徴的だったのは電機各社が自動車向けの技術を披露し、ソニーは電気自動車を発表した。

 逆にトヨタ自動車はスマートシティの提案に終始するなど、自動車ではなく街全体を最適化していくシーン提案が中心だった。

 これからのモビリティは、自動車としての機能強化だけでなく、移動手段としての方向性、街全体との関係を含めて取り組む時代になる。CASEを軸にしたスマート社会を視野にした技術開発が求められる。