2020.12.03 【抵抗器技術特集】 KOAが用途別に最適な抵抗器提供車載用からIoT、環境・省エネ関連、コンシューマ機器用まで
[写真1]SLPシリーズ
KOAは、高い信頼性が求められる自動車用途から、近年注目されるIoT関連機器、インバータなどの環境・省エネ関連機器、またスマートフォンなどコンシューマ向け機器まで様々な用途に向けた各種抵抗器を提供している。
当社の低抵抗器は豊富な種類・サイズをそろえており、用途に合わせて選択が可能である。金属板電極を樹脂封止した構造のSLシリーズは、抵抗値3mΩ~、定格電力~7Wの仕様を持つ。新たに、樹脂封止タイプで極低背0.635mm構造のSLPシリーズをラインアップした(写真1)。5025mm、6332mmサイズで定格電力最大2W、抵抗値~100mΩ、抵抗温度係数±50×10⁻⁶/Kで回路の高精度化に貢献する。また、専用抵抗材料と銅を接合したシンプルな構造のPSJ2・PSL2・PSG4・PSF4(写真2、3)は、PSJ2では10mm×5.2mm最大電力12W、最小抵抗値0.2mΩであり最大245Aの電流検出が可能である。PSL2は6332mmサイズでありながら、最大電力9W、最少抵抗値0.2mΩを実現している。また、4端子構造のPSG4・PSF4はより高精度な抵抗温度係数±50×10⁻⁶/Kを実現している。TLRシリーズ(写真4)は0.5mΩ~20mΩ、抵抗値許容差1%、抵抗温度係数±50×10⁻⁶/Kであり、寄生インダクタンスを極力排除しているため高精度な電流検出が可能である。また、2012mmサイズで1W、6332mmサイズで5Wと小型・高電力化により最大77Aまでの電流検出を可能とした。さらに大電流用途として、バスバーメーカーのサンコールと共同開発したバスバー一体型シャントのシャントバスバーは、最大800Aまでの電流検出が可能。バスバーを使用している機器や磁気方式の電流センサーからシャント方式へ代替が可能となり、省スペースや軽量化、部品点数削減に貢献する。
また、厚膜タイプには、0603mm~6331mmの豊富なサイズラインアップと、24mΩ~10Ωの幅広い抵抗値範囲を誇る汎用品SR73シリーズ、100mΩ以下の低抵抗領域において抵抗温度係数±100×10⁻⁶/K~の高精度に対応するUR73シリーズ、長辺電極構造により0.75W~3.0Wの高い定格電力と耐ヒートサイクル性に優れるWK73シリーズがある。さらに、155℃までの高耐熱で抵抗温度係数±75×10⁻⁶/K~を実現したUR73Vシリーズ(写真5)、高精度高電力対応の抵抗温度係数±75×10⁻⁶/K~を実現した長辺電極タイプのWU73シリーズ(写真6)をラインアップしている。
小型・軽量化要求に対しては、既に0402mmの汎用チップ抵抗器RK73 1Fを提供しているが、さらなる機能モジュールの小型・高集積化を目的とした「部品内蔵基板」に向けて専用部品を提供している。
銅めっき接続方式の低背形厚膜チップ抵抗器XR73シリーズは、電気的性能は現行のチップ抵抗器と同等でありながら、部品厚みを0.14mmの超低背にすることにより基板の薄型化を可能にし、銅電極の採用によりビアホールめっきとの高い接続信頼性を実現した。
高精度チップ抵抗器の分野では、抵抗値許容差±0.05%~、抵抗温度係数±5×10⁻⁶/K~という高精度を保ちながら、定格周囲温度85℃、使用温度範囲-55℃~155度で使用可能な耐熱性と耐湿性を向上した金属皮膜チップ抵抗器RN73H(写真7)がある。
また、厚膜抵抗体を用いたチップ抵抗器では困難とされていた抵抗値許容差±0.1%、抵抗温度係数±25×10⁻⁶/Kの高信頼性厚膜チップ抵抗器「RS73」(写真8)をリリースしている。RS73は薄膜抵抗並みの長期安定性にも優れた高信頼性品であり、同時に硫化対策品もラインアップしている。
薄膜抵抗ネットワークシリーズKPCは、複数の薄膜抵抗体を集積し、半導体の標準パッケージに樹脂封止した高精度ネットワーク抵抗器で、単体チップ抵抗器では困難な相対抵抗値許容差0.05%~、相対抵抗温度係数5×10⁻⁶/K~の保証を実現。高精度オペアンプ回路や電圧検出回路などで高効率化に効果を発揮する。
<KOA(株)>