2021.02.16 福島県沖地震、電機各社工場の被害軽微電器店では商品転倒など被害

 13日夜に発生した福島県沖地震によるエレクトロニクス工場の被害は、震源地に近い福島県や宮城県の一部工場で被害が発生したが、全体では軽微。

 総合電機や電子部品の福島・宮城地区工場の多くは建物・設備・人を含め大きな被害は見られない。15日は設備点検などのため稼働停止中の工場もあるものの、大半の工場では通常操業を続けている。

 総合電機各社では人的・物的被害は確認されていない。パナソニックは15日時点で設備点検中の工場もあるが、完了次第、操業再開を予定。三菱電機は震度6地域の事業所が3カ所あり、従業員の安全を第一に操業・営業している。

 日立製作所は福島県の一部製造拠点での軽微な損傷のみ。東芝は部品製造の東芝プレシジョン(福島市)で停電があったが、大きな被害はない。NECは15日朝から福島市と宮城県白石市のグループの通信機器関連工場で点検作業を行っており、確認でき次第、操業を再開。富士通は東北の各オフィスに被害はなく、仙台市のデータセンターの一部電源トラブルも復旧した。

 電子部品では、村田製作所は登米村田製作所(宮城県登米市)など宮城・福島地区の3生産拠点で建物・設備の一部に被害があり復旧作業中。宮城・福島に多くの工場を展開するアルプスアルパインは従業員の軽傷者が数人、一部水漏れなどはあったが、業務・工場稼働に影響はない。トーキンは仙台事業所(仙台市太白区)と白石事業所(白石市)で壁面・天井などの破損、設備・物品などの転倒のほかに大きな損傷はなし。安全確認のため15日は一時停止したが、確認がとれ次第、稼働を予定する。

 メイコーは福島工場(福島県広野町)と石巻工場(宮城県石巻市)で一部生産設備の調整が必要なため、15日は生産停止して調整に当たっている。日本ケミコンやNKKスイッチズは通常操業中。

 東京エレクトロンの岩手県奥州市と宮城県大和町の事業所は共に通常稼働中。アンリツは郡山工場(福島県郡山市)で建物の一部損傷と落下物などがあったが、事業継続に影響はない。

ケーズデンキ仙台港店の臨時休業の案内(14日正午時点。現在は店舗入り口で縮小営業中)

 一方、東北の家電流通には被害が生じている。仙台市内の家電量販店でも、一時営業を見合わせた店舗があった。地域店では展示していたテレビの転倒被害などがあったが、東日本大震災の教訓を生かして被害を最小化した店もある。

 ケーズホールディングスは15日正午現在、福島市や郡山市などの4店舗、宮城県名取市の1店舗が臨時休業。エントランスで緊急の修理品に対応したり、商品が倒れている売り場を一部閉鎖したりして縮小営業しているのが福島県で4店舗、宮城県で6店舗という状況。そのほかの県では外壁にひびが入る被害などはあったが、営業に支障を来すほどではなかった。

 仙台市宮城野区のケーズデンキ仙台港店は、14日は営業を見合わせたが、現在は店舗入り口で縮小営業している。

 ヤマダホールディングスは、郡山市の2店舗が臨時休業。福島県いわき市などでは、白物家電売り場だけで営業する店や、店舗駐車場で営業している店がある。宮城県では、大河原町のテックランド大河原店が店舗入り口で営業中。

 ビックカメラグループのコジマでは休業店舗はない。福島市や郡山市など3店舗が店舗入り口で営業し、小型テレビや電池などニーズの多い商品を中心に販売。宮城県ではコジマ×ビックカメラ多賀城店(多賀城市)が一部売り場のみで営業している。

 地域店でも地震後の対応に追われている。

 ミヤデン八幡店(仙台市青葉区)では東日本大震災後、家電品の転倒防止対策を施していたことから、店内での被害はない。お客からはテレビが倒れて壊れたとの連絡が2件あった。

 ナカオ(福島市)では、南矢野目店で展示していたテレビが倒れたほか、次亜塩素酸 空間除菌脱臭機ジアイーノなども倒れる被害が出た。震度6強を記録した福島県国見町にあるシンワ国見店では、テレビや倉庫のエアコンが倒れ、お客からも数件、テレビの転倒に関する電話があった。
 宮城県と福島県の電機商業組合でも事務所で書類などが散乱しており、対応に追われている状況という。