2021.03.26 【中国拠点特集】上村工業上村工業(深圳)有限公司

上村工業(深圳)有限公司

中谷董事総経理中谷董事総経理

スマホ、自動車、半導体向け需要増

 上村工業は、深圳市坪山区に製造会社、南山区に営業・技術サポート拠点、香港と上海市に販売会社を持ち、中国国内のめっき薬品、研磨剤、めっき装置の需要に応えている。

 深圳市の製造会社「上村工業(深圳)有限公司」(坪山新区深圳市大工業区)は、06年の工場移転以来、めっき薬品やめっき装置を生産。めっき薬品はプリント基板や電子部品用の無電解ニッケル、無電解金、無電解パラジウム、下地用銅などの販売を増やしている。20年後半からはスマートフォンや5G基地局向け、医療機器向けのプリント基板や電子部品用のめっき薬品の需要が急増し、年末にかけての出荷量は好調だった。機械事業では20年2月に新設したクリーンルームでの中国国内の現地、欧米系、日系半導体メーカー向けめっき装置の生産も順調に立ち上がる。

 中谷聖二董事総経理は「20年度前半は新型コロナ禍で中国顧客の工場稼働率が低下し、当社の生産量も低下していたが、中国の市況回復が早く、後半からは計画を上回る生産が続いていた。年明け以降もスマートフォン、自動車、半導体向けの需要が活発で、好調な生産は続いている。春節も長期休暇を短縮して工場稼働日数を増加させ、旺盛な受注に対応できた」と話す。

 自動化にも取り組み、一部で導入していた産業用ロボットによるめっき薬品自動充填(じゅうてん)システムを20年度に本格導入し、大半を自動充填にした。

 今年で深圳進出33年、現工場に移転して15年。この5年は従業員200人規模を維持しながらも生産能力を拡大している。離職率が5%以下と低く、熟練工による精度の高い生産体制も強み。現在、薬品の生産量は、月産800-900㌧と15年前と比べ2倍以上の生産能力を持つ。機械事業では内製化率を上げて品質も向上。南山事務所には約50人の営業、フィールドエンジニアを勤務させ、広東省から中国の各拠点と連携したカスタマサポートにも力を入れている。